鈴木哲夫の政界インサイド「北朝鮮『東京五輪を外交カード』で生じる危険性」 (2/2ページ)
20年の夏季五輪は東京、22年の冬季が北京と3大会連続してアジアが舞台です。しばらくは五輪開催成功のカギを握るのは北朝鮮の動向と判断したのでしょう。それで、みずから出向いて、北朝鮮と信頼関係を築くつもりなのでは‥‥」(前出・自民党ベテラン議員)
このままバッハ会長が五輪存続を優先し続ければ、北朝鮮はしばらく五輪を外交カードとして使ってくるだろう。その危険性について、外務省OBが憂える。
「日本が核開発、ミサイル発射を巡って経済制裁を続けた場合、北朝鮮が東京五輪に参加しないと言いだす可能性もある。だからといって、経済制裁を弱めるという判断はできない。一方で、北朝鮮は韓国と合同チームを作って、南北統一に日本が水を差しているという構図にして、プレッシャーをかけてくることも考えられる。対応いかんで、五輪の成功かどうかでなく、日本の外交そのものが世界で批判を受けるかもしれない」
平昌で日本人選手のメダル獲得は喜ばしい出来事に変わりはない。だが、日本政府は喜んでばかりいられないのも事実。平昌の閉幕は、東京五輪を巡る外交戦略の幕開けでもあるのだから‥‥。
ジャーナリスト・鈴木哲夫(すずき・てつお):58年、福岡県生まれ。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリーに。新著「戦争を知っている最後の政治家中曽根康弘の言葉」(ブックマン社)が絶賛発売中。