絵師、彫師、摺師…職人たちのコラボアート!江戸時代の浮世絵の製作過程を工程順に紹介 (5/6ページ)
摺り師、版元:本摺り
摺り師は見本摺りをもとに、本摺りと呼ばれる実際に販売する商品を摺ります。
腕の良い摺り師が朝から晩まで摺ると、目安として約200枚が摺りあがりました。その200枚を「一杯」と呼び、「初摺(しょずり)」(=初版)として絵草紙屋や地本問屋の表に並べられて販売されました。
歌川豊国「今様見立士農工商之内商人」国立国会図書館蔵
この初摺、よほどの人気絵師でない限りは50枚ほどでした。版元は売れ行きを様子見してから増刷したようです。
新作発売日の朝、ファンは何が何でも初摺をゲットするため地本問屋に押しかけました。その理由は簡単。初摺は丁寧で、後摺は雑だからです。後摺になってくると版木が摩耗してだんだんと線が潰れてきますし、慌てて増刷するために、こだわって絵師と調整した色彩もアバウトになって暗くなったり、グラデーションをサボってベタ摺りになったり、しまいには絵具が足りなくなったとかで最初の絵師の色指定と全然違う色で摺ったりしていました。絵師のファンはその絵師がちゃんと立ち会って監修したものが欲しいので、初摺りを買い求めたのです。