絵師、彫師、摺師…職人たちのコラボアート!江戸時代の浮世絵の製作過程を工程順に紹介 (4/6ページ)

Japaaan

色版

色版には、紙を正確な位置に置いて摺れるように「見当」というマークを彫りました。版木の端にL字型のかぎ見当と一の字の引き付け見当の2種類を彫り、そこに紙の端を揃える事で、多色でもブレずに摺る事ができました。

ちなみに、推測や判断、方向を間違えることを意味する「見当はずれ」の語源はここから来ています。

摺り師:板合わせ

さて、ついに摺り師の出番です。馬連(ばれん)という紙をこする道具を使って全ての色を1枚の紙に試し摺りします。見当がずれていないか、色抜けや彫り忘れはないかなどのチェックはここで行います。

ちなみに和紙はそのまま摺ると墨や水を吸いすぎて滲むので、摺る前に礬水(どうさ)というニカワとミョウバンを混ぜた液を薄く均等に引いて滲み止めの加工しました。絵具が滲まずに紙に定着するかどうかは、摺りの技術だけでなく、礬水引きの腕にもかかっていました。

こちらは、歌川国貞が描いた礬水引きする摺り師。手桶に入った液体を大きな刷毛で和紙に塗っています。

歌川国貞「 今様見立士農工商 職人」(部分)

歌川国貞「 今様見立士農工商 職人」(部分)

絵師、彫り師、摺り師:見本摺り

版元や絵師、彫り師の立ち会いのもと、色を微調整したり見当を直したりして摺りあがりを完成形に近づけていきます。版元と絵師がOKを出せば、見本摺りのできあがりです。

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