玉木正之のスポーツ内憂内患「レスリング協会と相撲協会『共通の欠陥』とは?」 (2/2ページ)
ならば相撲協会も、理事長に選ばれた人物(八角親方)は自分の部屋(八角部屋)の仕事から離れ、相撲協会の組織運営に専念すべきだろう。
レスリング協会にも同様のことが言える。特定の組織(大学やクラブ)に所属していたり、そこで指導を行っている人物が、レスリング協会の選手強化本部長に就任すれば、自分の所属している組織の選手が有利になる(他の組織の選手が不利になる)ような行動に出ることが考えられる。
至学館大学で多くの女子レスラーを育て、多くの五輪メダリストを輩出した栄和人コーチが、日本レスリング協会の強化本部長に就任したのなら、その時点で自らは至学館という特定の組織を離れ、日本のレスリング界全体を見渡し、全体のレベルアップを考える立場に立ち、それを推進する仕事をするべきだろう。
日本のスポーツ界では、選手を育てたり、試合での戦術を指導する現場の人物(監督やコーチ)が、組織の運営にも携わるケースが少なくない。
先にJリーグの例で示したように、現場(チームや選手)の事情を熟知し、精通している人物が、全体の組織(リーグ)の運営を行うのはメリットがある。が、自分の組織(チーム)を離れないで相撲界やレスリング界全体の運営に着手するのは、それだけで「パワハラ」になる可能性が大いにある。相撲界もレスリング界も、そのことに気づき、組織改革を行うべきだろう。
玉木正之