玉木正之のスポーツ内憂内患「貴乃花親方に目指してほしい“角界改革”」 (2/2ページ)
もっとも、貴乃花親方の行動にも問題があり、自分の主張が正しいと信じるあまりか、他の親方衆とのコミュニケーションを欠いて孤立してしまったうえ、相撲ファンの支持も今一つ得られなかった。これは貴乃花親方の人間的未熟さゆえの戦術的失敗と言えよう。
貴乃花親方もその点に気づいたのか、「一兵卒宣言」のあとは協会とも足並みを揃え、マスコミの取材にも快く応じるようになった。
が、そこで問題として残るのは、角界の「改革派」と言われる貴乃花親方が、「どんな改革」を目指しているのか、ということだ。
いくつかのメディアが伝えるところによれば、本場所の取組時間を遅らせ、テレビのゴールデンタイムにするとか、新弟子希望者の減少を食い止めるため、相撲学校を設立するとか、和服は若者に受け入れられ難いのでジャージーにする‥‥といったことが貴乃花親方の「改革案」として取りあげられている。
私個人の意見としては、考慮して面白いと思うものもあれば、絶対反対と言いたいもの(和服の否定)もある。が、もっと根本的な(例えば相撲協会の理事長は個別の部屋の運営から離れるといった)「改革」を口にしてほしいものだ。
「改革」といえば、なぜか「正しい」もののように理解する風潮が(角界にも政界にも)あるが、角界の基本は日本の伝統文化を保守することのはず。だから角界の「改革」は(政界の憲法改正案と同様)、雰囲気で語るのではなく、具体案を個別に吟味したいものだ。
玉木正之