【革命】女神転生スタッフが新たな伝説ゲーム「十三月のふたり姫」を開発 / 開発者インタビュー・メガテン開発秘話

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【革命】女神転生スタッフが新たな伝説ゲーム「十三月のふたり姫」を開発 / 開発者インタビュー・メガテン開発秘話

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おそらく、この記事を読んでいるほとんどの人が知っているはずのゲーム「女神転生」シリーズ。ファミコン版の開発をアトラスが担当し、その後「真・女神転生」シリーズや「ペルソナ」シリーズへと派生していった。

・メガテンレジェンドが新たな物語を紡ぐ
そんな女神転生の基礎ともいうべき、世界観やゲームデザインなどを手がけた鈴木一也氏をご存知だろうか。たとえば、シリーズの名言「コンゴトモヨロシク」というセリフを考えたのも鈴木氏である。モンスター同士を合体させるというシステムを最初に考えたのもそうだ。いま、そんな鈴木氏と女神転生シリーズの過去作品に携わってきた「レジェンド」たちが終結し、新たな物語を紡ごうとしている。

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・ヴェールに包まれたゲーム
ダークファンタジーノベルゲーム「十三月のふたり姫」である。現在、クラウドファンディングで資金調達をしており、達成額は500万円。メガテンのレジェンドスタッフたちが送る、新たな伝説が発動したのである。

まだヴェールに包まれているこのゲームについて、今回は鈴木一也氏とプロデューサーの小林正和氏(バンブルマン株式会社)にお話を伺った。

・まさにメディアミックス
記者: 鈴木さんはメガテンに関わったといわれていますけど、どのような点に携わったのでしょうか

鈴木: 話は、まだアトラスがゲーム開発の下請け会社だった時代にさかのぼります。そんなとき私がアトラスに入社しました。ちょうどナムコさんの下請けでメガテンの企画が進んでたのです。

そのメガテン企画を進めてたのが、上田和敏さんという方でした。上田さんはデジタルゲーム業界で初めてのゲームプランナーなんです。その上田さんが私の上司だったんですね。で、彼が女神転生というコンテンツをやるぞと、時代としては非常に速い「クロスオーバー」だぞと。

記者: クロスオーバー? メディアミックスということですか?

鈴木&小林: それ! メディアミックス(笑)!

鈴木: メガテンはゲームが決まり、映画が決まり、そして小説を世に出すことに。余談ですが、実は小説版は西谷史先生の処女作です。

記者: まさにメディアミックス。

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・西谷史先生「好きにしていいよ」
鈴木: この企画には、元キティレコードの敏腕プロデューサー井上さんという方がスタンバっていて、そんな流れのなかでゲーム開発はアトラスがやるという話に。というこでメガテンは多岐にわたりメディアミックス展開をしていました。

記者: 上田さんといい、井上さんといい、優秀な人たちが携わっていたわけですね。鈴木さんは女神転生のゲームを上田さんのもとで作ることになったわけですか?

鈴木: ところが上田さんの企画書を見せてもらうと、ほぼ「ウィザードリィ」だったんですよ。

小林: はっはっは(笑)。

鈴木: 完璧にウィザードリィでした。なので「上田さんこれじゃウィザードリィすぎませんか?」と伝えたら、「うーん、なんか良いアイデアない?」と言われ、「じゃあ敵を仲間にするとどうですか」とアイデア出ししたわけです。

記者: 悪魔を仲間にする「仲魔システム」ですね! そのアイデアに上田さんのジャッジは……。

鈴木:「ん~~~いいね! ……でもちょっと弱いね!」って言われました(笑)。

小林: ははは(笑)。

記者: なるほど。つまりそのときまでは仲魔システムというアイデアは企画書に存在しなかったんですね。そのとき初めて鈴木さんが仲魔システムのアイデアを出したと。

鈴木: かつて僕が作った「モンスターメーカー」というゲームがあるのですが、ゲームボーイの初代「ポケットモンスター」は、ポケモンの開発者がモンスターメーカーをプレイして「あ、これだ! モンスターを仲間にすればいいんだ!」と思って作ったらしいです。

世界的に大ヒットした初代「ポケットモンスター」のゲームシステムですが、それのもとになった私のアイデアでも「弱い」って言われちゃったんですよ(笑)。

記者: それはショックですね。

鈴木: そんなアイデアが弱いといわれたので「じゃあ一週間ください」と言って、実際のところ三日で考えて「じゃあ敵同士を合体させたらいかがでしょうか。合体するとより強いモンスターが……、悪魔が生まれます」と改めてアイデアを出しました。

今度は上田さんも「あ、これは面白いね!」と言ってくれて、仲魔システムに悪魔合体を合わせたわけです。そのあと魔法の名前とか、出現する悪魔とか、種族とか、ぜんぶ僕が決めました。

女神転生1は、私はストーリーに全然かかわってないです。ダンジョンの設計も全部やってないですね。女神転生2の開発時、小説家の西谷史先生に「好きにしていいよ」と言われたので、ストーリーや設定など、全部オリジナルで作ることになって、私のオリジナル要素をたくさん盛り込むことができました。

記者: その流れで「真・女神転生」も作られたわけですね。

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・「コンゴトモヨロシク」も鈴木さん発案
鈴木:「真・女神転生」はアトラスから発売されましたが、いろいろと奇跡的な背景がありました。ナムコの営業さんは自分のところで続編を出したいという話だったんですよ。ところが、実はファミコンのメガテンって最初あんま売れなかったんです。30万本ぐらいですね。

ナムコさんのゲームは百万本売れてもおかしくないレベルの人気作ばかり。ナムコさんの社内プログラマーが自分たちで作って3か月で作れるゲームが百万本売れるんです。ところが、アトラスに作らせたゲームが八か月かかって30万本しか売れない。そうなると、ナムコさんのプログラマーから「そんなゲームはナムコはいらない!」という声が上がるわけです。ナムコさんはプログラマーの発言力が強いので、「じゃあアトラスで売っていいですか?」という流れで、まんまとせしめたんです(笑)。

記者: ナムコさんは「いいよいいよ出しなよ」という流れだったんですね。

鈴木:「じゃあやっていいですよ」って。もの凄くラッキーでした。

記者: いまでは老若男女に愛されている女神転生シリーズのゲームですが、鈴木さんはメガテンの世界観を基礎から全部作られたんですよね。

鈴木: そうですね。「女神転生2」の世界をもうちょっと整理して分かりやすくしたっていうのが「真・女神転生」ですね。そこでもシナリオとすべての設定をやりました。「女神転生2」以降は私が設定をほとんど作った感じです。

記者: 「女神転生2」から色濃く鈴木さんのテイストが出てきたって感じですね。

鈴木: はい。

記者: で、「真・女神転生」で確立されたものになって。

鈴木: はい。

記者: あの、シンプルなアイコン2Dフィールドなども?

鈴木: あれは上田さんデザインしました。上田さんすごくバランスいい企画者なんですよ。あとオート戦闘とかね。あれ上田さんのアイデアなんです。

記者: 爽快感あふれるオートバトル快感ですよね!

鈴木: あの、みんなギリメカラに殺されてたあのオートバトル(笑)。

記者: 気がついたら死んでたっていうのあります(笑)。

鈴木: 物理攻撃反射のアイデアは私なんですけども。それがうまくマッチして大変な惨事を招くという。

記者:「真・女神転生」ではどこまで携わられたんですか?

鈴木: えーと「真・女神転生 if」までですね。とはいえ、あまり触れてなくて、魔法と悪魔設定と悪魔会話ですね。

記者: 悪魔との会話などセリフを全部考えたわけですよね。

鈴木: そうそうそう。

記者: 今の世代、鈴木さんの功績を知らない人多いんじゃないですか?

鈴木: 多分、そんなに知らないと思う(笑)。

記者: 知らないですよね。よくいろんな作品でパロディにもなってる「コンゴトモヨロシク」も鈴木さん発案だと知らないのでは。

鈴木: 私が作りました(笑)。

記者: そうですよね!

鈴木: その辺「恥ずかしいな~」と思いながら。あと「悪魔を殺して平気なのか」とか、そういうのも全部
作ってましたね。

記者: チラシにもなってますよね。

鈴木: ああ、なってます。

記者: ていうことは、現代のソシャゲの基礎を作ったっていう。

鈴木: RPGはいま、合体が基本になってますよね。

記者: 基本です。あたりまえですね。

鈴木: それの、最初の基礎を作った。仲間にして、合体させるっていうのも。そこも私が最初に作った。

記者: もっと評価されていい。

鈴木: 業界で飯を食わせてもらってるっていうのが、まあ、最高の「ギフト」だとは思ってますけど(笑)。

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・「偽典・女神転生」がアスキーから出たわけ
鈴木: ほかに女神転生でかかわってきたのは「真・女神転生RPG」。それと「偽典・女神転生」のパソコン版を作りました。偽典はですね、アトラスさんから黒歴史にされているっていうか抹殺されてしまいましたね。まったく公式のものとして認められなくなってしまったので、ちょっと悲しいです。

小林:「偽典・女神転生」の発売はアスキーですよね?

鈴木: アスキーさんから出ました。

記者: アスキーから出た理由はあるのですか?

鈴木: いや、ただ単に私とアスキーさんが親しかったから(笑)。ただそれだけですね。というのは、うちの父が、翔企画で「RPGマガジン」というコミックを作ってて、それをたたもうとしたんです。私はたたむのはもったいないと感じたので、掲載していた作家さんだけでも拾ってもらおうと思ってアスキーに話を持ってたんです。

そしたら、ちょうどアスキーもコミックを立ち上げようとしてて、で、それがそのアスキーコミックになったんですね。そこのアスキーコミックで、私が「真・女神転生 東京黙示録」(画: 御祇島千明)の原作を書かせていただいて、アスキーさんとはすごく親しくさせていただきました。

記者: そういう繋がりがあって「偽典・女神転生」がアスキーから出たわけですね。ゲームに対するプレイヤーの評判はどうでした?

鈴木: えーとですね、実は、プログラム的に非常に問題があって、「何度も直してくれ」と開発陣に言ったところが直んなかったという致命的なところがあるんです。それは何かというと、クロック数の高いパソコンだと悪魔が早く動きすぎて、プレイヤーは絶対とけない。クロック数じゃなくて、実時間でやってくれと何度もお願いしたのですが……。

記者: ゲーム進行速度がパソコンのスペックに依存してしまうわけですか。

鈴木: そうなんですそうなんです。ファミコンの感覚で作っちゃったんですね。ファミコンの動きって決まってるから、それで作っちゃったんですね。そこを、直させてくれと言ったのに、アスキーのほうが時間くれなかったんですね。

記者: あーーーー。

鈴木: まあ、そのへんはまあちょっと色々と、あの(危なすぎるので大幅に中略)。

・インデックスを介してお願い
記者: 鈴木さんはアトラスをお辞めになられてからも、メガテン系のシナリオなどに携わっているそうですが。

鈴木: はい「真・女神転生IMAGINE」です。ゲーム設定の相談をされたんです。代々木公園のお花見で、イマジンの担当者を呼んで、そこで打ち合わせをしたのがはじまりです。そのあと小林さんがメガテンのプロデューサーになって、「真・女神転生IMAGINE」のシナリオの依頼が来たんです。

小林: それが、ひとつの面白い縁だったんだよね。

鈴木: もともと、アトラスは私がメガテンに関わったことをずーっと伏せていたわけです。これは言っても大丈夫ですよね(笑)? 要はまあ「メガテンは自分たちのものである」という気持ちがアトラスにはあるんで、アトラスを辞めた鈴木と上田さんまで無かったことにされて、ファミ通とかには金子、岡田コンビで……。

小林: あーあーあー(笑)!

記者: 話題を変えましょう(笑)。鈴木さんはどのようにして「真・女神転生IMAGINE」の開発に携わることになったのですか?

鈴木: まあそれは、アトラスが買収されたおかげなんですね。上がえーーっとあの、その、なんだっけ。

記者: インデックス!?

鈴木: そう、上がインデックスさんですから、インデックス通して私に話が来るという流れになりました。そこで小林さんが尽力されて、私をシナリオに引っ込んでくれた、というのがまた、メガテンのフィールドに立つきっかけになった。

記者: きっかけは小林さん。

鈴木: そうですそうです。

小林: 実はあの、さっき鈴木さんが小林は女神転生のプロデューサーと言っていましたが、ちょっと違う。ケイブのオンラインサービス部があって、ケイブがやってるMMORPGとかオンラインゲーム全体をみる部署であったわけですね。私はそこのプロデューサーですね。

鈴木: あれメガテンだけじゃないの!?

小林: え……いや、ちっちゃいのはいろいろあったわけですよ、みんな知らないだけで。僕はそこの開発統括になったわけですね。開発統括で入って、まあ一番大きいタイトルがメガテンだったので、女神転生のプロデューサーでもいたんですけど。

あと、「真・女神転生IMAGINE」は、本来の女神転生ではないっていう鬼の子扱いでした。アトラスのほうで出してる「女神転生」ナンバリングとか、スピンアウトとかとは別という位置づけ。だったら、元祖の鈴木さんがシナリオを書い鬼っ子とは呼ばれないだろうと。そう考えて、じゃあ直接頼んじゃおうっていうことになったの。ここからちょっとオフレコの話にはなるんですが(中略)のが本当。

鈴木: 当時売れ行き的には、イマジンが一番売れてたんだよね。

記者: 断る理由ないですからね、儲かるのであれば。ということは、その「真・女神転生IMAGINE」を作るにあたって、アトラスからダイレクトに鈴木さんにはお願いせず、インデックスを介してお願いする流れができたわけですか。

小林: そうですね。

・平将門が消えた事件
記者: 「真・女神転生IMAGINE」は「真・女神転生 NINE」と繋がりがあると聞きましたが、関係はあるのでしょうか?

小林: そのナインってやつがまともに作れなくって、それがイマジンになった。

鈴木: こけた。出たけど全然売れなかった。

小林: プレーしてないから知らない。で、全部作り直して。で、その時にアトラスのひ(中略)。

記者: その「真・女神転生 NINE」がもとで「真・女神転生IMAGINE」が生まれたってことですか?

小林: 定説としてはそうですけど、まったく基ではない。つながってはいないです。

鈴木: 完全に別ですもんね、だから志だけ?

小林: 志だけ。

記者: 一回作ろうとしてダメだったけど、

鈴木: 作ったんですけどダメだったんで志だけをついで……。継いだってのは志だけ。

小林: あと「真・女神転生IMAGINE」のちょっと良い話っていうのがあります。将門の話です。

記者: 首塚?

小林: そうですね。平将門ですね。メガテンに出るんですけど、「真・女神転生IMAGINE」って3Dモデルは全部アトラスのものを利用していたんですね。これは言ってもいいですよね、別に。

鈴木: はい。

小林: で、将門様も使ってたんですよ。将門様をイベントでメインで使おうっていうということになった時に、普段の将門様の3Dモデルはあるのに、戦闘モードになった将門様がどこにも見つからない。コピーも見つからない。

記者: 素材がですか?

小林: そう、素材がないんです。あ、ありえないですよねそんなこと。

記者: それはどういうことなんですか?

小林: 将門が出たがらなかったとしか思えないんですよ。

記者: あ~そういうことね、完全理解した。

小林: だからそのイベントなくなっちゃったんですよ(笑)。だっていないんだもん(笑)。

記者: 怖いですね。

小林: 良い話というより怖い話(笑)。

鈴木: あの、メガテンTRPGがを出した後に、ファンの集いで、東京心霊スポット巡りのバスツアーやったんですよ。一番すごいときは観光バス二台連ねて。そのとき平将門の首塚に行ったんですよ。

記者: ビルの谷間にあるところですよね~

鈴木: そうです。そこに行ったんですけれども、すぐ近くにはバスを止められないんで、ちょっと離れたところに停めたんですよ。で、みんな、うちのゲームクラブの女の子が先導していくんですけども、なんと、半分がたどり着けなかったんです。

記者: ‥‥……なんでですか????

(一同爆笑)

鈴木: 嫌われる人は行けないんです。

小林: あれすごい分かりやすい場所なんですけど。

鈴木: もうね、そういう伝説があるぐらい。ほんと、嫌われる人は拒否られます。

記者: 昔、メガテン好きすぎて首塚行ったんですよ。あのビルの真下ですよね?

小林: すごい分かりやすい場所なんですよね。

鈴木: 分かりやすくはないですけどね。

小林: 地図見ていけない場所ではないです。

記者: さっきの将門の画像が見つからないっていうのは、アトラス側に元画像ははあったんですよね?

小林: あったはず。ていうのは、借りてるからないわけがないんですよ。

鈴木: それなのにアトラスにもない。

記者: なぜか。

小林: きえた(笑)。

鈴木:「真・女神転生III NOCTURNE」のやつ? 3のやつしか使えないっていう契約だったので、3の画像だったはず。

小林: そうですね、イマジンで使ってたやつだから。で、不思議なのはケイブは受け取ってるんですよ、確かに。でも、アトラスとケイブの両方がなくなってるんですよ。

鈴木: マジですか

小林: うん、そう。

記者: なくしたとかじゃないですよね?

小林: 勝手にどっかいっちゃったんですよ。

鈴木: すごい。

記者: 話を元に戻すと、鈴木さんはその「真・女神転生IMAGINE」のシナリオに、携わっていたんですね

小林: はい。イマジンは、ローンチして時間が経って、そろそろ新しいシナリオを作りたいなっていうときに俺が開発に入って、じゃあ鈴木さん頼んじゃおうよって話になりました。さっきの鬼っ子の話があって。

記者: なるほどなるほど。

小林: アトラスのほうからは「元祖とか言うな」という話はありましたが、ネットで話題になれば「鈴木さんまたメガテン作ってんだ」と広まるはずだし。

鈴木: ネットで「鈴木が作ってたんだ」ってわかってもらえたのはある。

記者: いくら隠しても、もうファンが黙っちゃいないですからね。

小林: だって当時の攻略本には普通に出てくるわけですからね。

鈴木: 上田さんなんて完全に戦闘システムとか作った功労者じゃない?

小林: 昔のゲーム会社ってそうなんだよね。

鈴木: やっぱアト(中略)。

一同爆笑

・オヤジ臭をいかに消せるか
記者: イマジンの後はメガテンに携わることはありましたか?

鈴木: イマジンの後からはほんともうメガテンのほうから切れて、いろんなゲームに関わりました。まあ、ほんと、いろんなゲーム作りましたね。ギャルゲーもやりましたし。

記者: ギャルゲーのシナリオですか?

鈴木: はい、シナリオやりました。ところがうちの部下に、まあ女の子なんですけども、「オヤジくせえセリフ」って言われて(笑)。

記者: 鈴木さんの女子セリフに対して?

鈴木: いや、女子セリフも男子セリフもですね。

記者: おやじくさいって(笑)。

鈴木: あ、ギャルゲーじゃないや。ギャルゲーじゃなくって、男子を落とすゲームってなんっていうんだっけ。

小林: 乙女ゲー??

鈴木: ああ。乙女ゲーだ。乙女ゲーもやったんですけど、オヤジくせって言われちゃって、まあ、プロットとかストーリーは生きたんですけど、まあ、結構語尾直されましたね。やっぱそれからですね、ちゃんとアニメをしっかり見たのは。

記者: セリフを研究。

鈴木: 今どきのセリフをちゃんと耳から入れて、文章よりも耳から入ったほうが覚えるんですよね。なのでそこでちょっと、オヤジ臭をいかに消せるかって。もう、研究しました。

ほかにはSNKから出た「ツキビト」ってゲームとかやりました。DSで出したんですけども。そういうゲームとかも作りましたよね。

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・凄まじくダークサイドの絵を描く人
記者: いよいよ新作ゲーム「十三月のふたり姫」のお話に入りたいと思いますが、そもそも、小林さんからどのような流れで鈴木さんにお話があったのでしょうか。

小林: メガテンの音楽やってる増子津可燦さんからデジタル絵本みたいな企画が来たんですね。こういうのができないかなって言われたんだけど、すごい地味なんですよ。なので、地味なものはどうにもできないから、増子さんだったらまあ鈴木さんと組んでもらって、メジャーなとこから話を進めなきゃだめだなって思ったんですよね。鈴木さんと話してるうちに、じゃあ童話の世界、おとぎ話の世界をメインにして作ろう、と。

鈴木: 一番最初に思い付いたのが「いばら姫」。要するに「眠れる森の美女」なんですよ。まあ、ディズニーによって世界的に大ヒットしてるじゃないですか。その世界観っていうのはみんな知ってるし、じゃあ大多数の人がパッとわかるだろうと。

しかも「眠れる森の美女」にはいろんな話があって、眠りを覚ます王子さまっていうのが、実はその継母が、オーガ(人食い鬼)なんですよ。で、それを倒しに行く後日談があるんです。みんなそれを知らないので、最初はその話を中心にしようかなと思ったの。

小林: 鈴木さんとその話をしてる時に、じゃあ絵はだれに頼もうかって話になって、アオガチョウさんにお願いしようと。おとぎ話などを題材に、ハードな絵を描ける人だったんです。そんな流れもあり、鈴木さんとしっかりダークファンタジーを作りたいなってなったんですね。

フワフワしたハリーポッターとかファンタジーっていうと、みんなこう、柔らかなものばっかりじゃないですか。猫娘が八頭身になったりしてるわけじゃないですか(笑)。だから逆に、ちゃんと怖くて、ちゃんとキレイな世界を描きたいなって思ったわけなんです。

ちょうどうちの会社のアメリカ人スタッフが、マスターオブホラーのジョン・カーペンターの息子なので(笑)、そうなるとちゃんとしたものを作りたいと考えたのもあり、アオガチョウさんのあの絵は丁度合うなとも思いました。

鈴木: アオガチョウさんとは展示会でお会いして面識があったんです。幻獣神話展ですね。この展示会には「モンスターメーカー」のイラストを描いてる米田さんもきていました。

絵を見て「すごいですねー」みたいなことを他の人と話していたら、「作者さんいますよ」と紹介されたのがアオガチョウさん。すっごい美人女性で、凄まじくダークサイドの絵を描く人だなあと思いました。

記者: アオガチョウさんコスプレもしてませんでした?

小林: よくそんなかっこしてます。アオガチョウさん、ほんとに、まず見た目すごいホントキレイなのと、描く絵がぐちゃぐちゃなのと……。

鈴木: ぐちゃぐちゃって言うな(笑)。

小林: ご本人と話してると明らかにおかしいなと。

鈴木: そこまでおかしくないですよ、大丈夫ですよ。

小林: あのぐちゃぐちゃは、かわいいと思って描いているはず。

鈴木: そうでしょう、わかりますよそれは(笑)。でなきゃ描けませんよ。

小林: そういういろんなことを含めて、まあ素敵な方ですよね、っていう、そういう話なんですけど。

鈴木: 食べるんですよね、やたらね。

小林: がつがつ食いますね。

鈴木: あの、絵の中で。

小林: 絵の中ね。

鈴木: 食べる関係って、ものすごく描かれてて。

小林: バクバク相手を食うって絵ばっかりなんですよ。

鈴木: それはね、愛なんですよ。相手を自分にしたい、同化したいっていう。それが、ストレートに表現されている。

記者: なんかイラストに関してもダークな感じしますよね。ちょっと闇がある感じの。

小林: 彼女の描かれた絵が、今回の企画に世界観としてピッタリいくのかなって思ったわれです。鈴木さんの「眠れる森の美女」の内容にね。それでアオガチョウさんに声をかけてみたら、本人も「やりますよ」という返事をいただいたので立ち上げてみました。

記者: ということは、この「十三月のふたり姫」が鈴木さんのシナリオ、増子さんの音楽、そしてアオガチョウさんの絵で生まれるわけですね。

鈴木: 三位一体!

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・ブンサダカの名前を知らない人はいない
記者: 絵は動くのでしょうか?

鈴木: 動きます動きます。

小林: ぬるぬる動きます。

鈴木: その動かす人がおもしろい経歴の人なんだよね。私もちょっとよく知らないんですけど、小林さんの昔からの盟友で。

小林: ブンサダカさんというCG業界ではすごい有名なやつなんですよ。あいつね、自分のやった仕事の名前出さないんですよ。

鈴木: そか、出しちゃいけないんだ。

小林: 契約的なものもあるんですけど、本人がネームブランディング的に出したくないものがいっぱいあるんですよ。だからすごい有名なゲームとかのCGやってたり、すごい有名な映画のCGやってたりするんだけど、名前出さない(笑)。ちなみに一番最初に彼がやった仕事がディズニーだからね。

記者: あの世界のディズニーですか?

小林: そう、ディズニーからスタートしてるんですよ。CGで世の中に出た一番最初の仕事は、これは言ってもいいやつなんだけど「ポケットビスケッツ」だったかな。イエローイエローハッピーのプロモーションビデオのCG。すごい話題になったやつからスタートして、あれがほぼ最初のころの作品です。そのあと映画のCGやったり色々やってます。でも名前はあんまり出さないです。

記者: 今回は出してくださるんですか?

小林: 出してます。

鈴木: これはハッキリ言えないので自分のイマジネーションを働かせて推測してほしいんですけれど、「ボウイ」って名前のレコードジャケットは全部制覇したと。

小林:「ボウイ」と「ボーイ・ジョージ」と「デヴィッドボウイ」のCDジャケット描いてるんです。

記者: え、ボウイってあのBφWYですか?

小林: ボウイです。

鈴木: という、ごまかした言い方(笑)。

小林: CG業界では、すごい有名な人なんで、CGアーティストをやっている人でブンサダカの名前を知らない人はいないです。

・悪魔的要素は出ます
記者: 「十三月のふたり姫」の開発前にお祓いはしたんですか? メガテンシリーズではお払いをしていたと聞いたので。

小林: してないです(笑)。

鈴木: ゲーム内にお祓いする必要があるものは出てこないと思います。

小林: 逆に、邪なものが全部寄ってきたほうがいいものができると思います。

鈴木: えーーー。

小林: イマジンでは鬼子母神行きましたよ、伝統で。

鈴木: 鬼子母神参りは、私が始めたんです。

小林: 女神転生の伝統で鈴木さんから始まった、雑司ヶ谷で鬼子母神にお参りする行為は、ケイブも引き継いでちゃんとお参りしてたんですよ。

記者: 一応メガテンとしては、鬼子母神?

小林: 鬼子母神。

鈴木: それもまあ、もとはといえば永井豪先生なんですよ。デビルマンと、彼は他に五本ぐらい描いてたのかな? 何の祟りなのか、しだいに描けなくなってくるんですよ。で、どんどん休載していって、デビルマンだけ残しても、まだ筆が重い。でも勧められて鬼子母神にお参り行ったら、パーーーーーっと描けるようになったそうです。そういう話をしてたんで、ぜひメガテン始まる前にこなそうと思って行きました。

記者: お祓いも兼ねて。

鈴木: はい。

記者: で、今回はいかない。

鈴木: 今回はだって必要ないもん。

小林: 必要ない。悪魔とか扱わないからね。

記者: でも鈴木さんのメガテン要素はちょっと入る予定ですよね?

鈴木: 悪魔的要素は出ますよ。

記者: 出ますか。

鈴木: ただ、お祓いしなくちゃいけない要素はないです。

記者: なるほどなるほど。

鈴木: 問題ないと思います。

・閏月をつかさどる魔女
記者: メガテンファンがオッと思うような悪魔は出ますか?

鈴木: えーとですね……でる、かな。あのーーーー、どう言えばいいかな、ちょっとグローバルに、いろんなものを取り入れていきたいと思います。たとえばいま、あの、歴史が、日本に限らず世界史も注目されていて、例えば「Fate」なんかいろんな英霊からピックアップされているじゃないですか。ああいった感じで、たとえば眠り姫が眠っている間の歴史ってまあ、原作では百年なんですけど、これをですね。千年にしようと。最初に百年後に現れる王子が眠り姫を起こせなかったら、というはじまり。

記者: もしもの話! それ、興味深いですね。

鈴木: その後の千年は、色んなものがやってくるわけですよ。そこにやっぱり歴史的に、ヨーロッパで活躍した人たちが、出てくるんですね。リアルだけではなくて、幻想の世界に入っていく話。そういうのだとこう、メガテンの世界にも近いものが出てくるんじゃないかなと。

そのなかで追及してくのは、真実の愛とは何なのか。というところなんですよ。というのも、最初の王子は、あの、たとえばキスして目覚めさせますけども、これは実は、彼女の美貌を受けて、感銘を受けただけだと。真実の愛ではない。という。感じだったんですよ。昔だったらそれでOKだったんですけども、現代でそれが真実の愛なのかといえば、まあ全然違いますよね。

記者: 見た目が可愛かったからとか?

鈴木: そうそうそう。真実の愛によってしか目覚めない。というところは、もうひとつとしてあります。じゃあ眠り姫が真実の愛に目覚めるのはいつか。という話と、眠り姫を眠らした悪い仙女、と言われてるものがありますよね? それはお誕生日パーティーに招待されなかったからひがんで姫に呪いをかけた。ってことになってるんですけども、そうではなくて別の動機から。その彼女っていうのは、うるう月と呼ばれる女の子なんですね。すごく、見た目は幼い感じなんです。

うるう月って何かというと、昔は、太陽暦と太陰暦っていうのがありまして、太陰暦を続けてると、だんだん太陽暦が本当の暦とずれてくる。ある時に太陰暦に太陽暦を合わせるためにうるう月っていうのをまとめて、だいたい五日間ぐらいまとめ、それを閏月としました。ヨーロッパではね。日本ではもっと長い期間。二週間ぐらいとるのかな? 日本の歴史の文章を読んでると、うるう三月とかうるう6月とかうるう7月とか、結構頻繁に出てくるんですよ。

そういう閏月ってのがあるんですよ。で、そこ閏月をつかさどる魔女なんですが、なぜ彼女が魔女なのかっていうと、魔女の集会って、なんて言われてるか知ってます?

記者: なんですか、魔女会ですか?

鈴木: そう魔女会。

記者: マジすか(笑)。

鈴木: いや、サバトって呼ばれてる。

記者: 聞いたことあります!!

鈴木: サバトっていうのは、もともと、ユダヤの神秘主義のサバオトという儀式から来ているんですね。そのサバオトは13人の術師が集まって月のパワーを引き出すという呪術なんです。でも月の数は12あって、13人と数字が合わない。ここが面白いところ。その閏月と呼ばれている女の子は13番目なんですね。

イエスキリストの使徒って12使徒って言われてて12人なんですけど、本来は13人なんです。ユダです。ユダは13人目の使徒なんで、13は不吉っていう数字にされた。イエスが処刑されたのが13日の金曜日だったので。それも重なって13っていうのは忌み嫌われる数だった。13てのは歴史の中で抹殺された数なんです。その13番目の巫女である閏月が眠れる森の姫を眠らせて、「守り人」として見つめ続ける。

記者: という物語なんですね。

鈴木: その目的というのが「真実の愛を見つけ出す」というもの。

記者: それは簡単にキスできないということでしょうか。

鈴木: そうですねそう、物語の中ではいろんなことが起きますよ。

小林: 百合だしね。

鈴木: え!

小林: 今の流れは百合ですよね。

鈴木: まあ、百合っていうと同性愛ですが。たとえばあの、プラトニックラブっていう言葉があるじゃないですか。プラトニックラブってどっからきているかご存知? 名前通りですよ。プラトン。ギリシャの哲学者プラトンの愛です。

記者: プラトンが訴えている愛の形っていうのがそうだったんですね。

鈴木: そう、エロスの愛ではなくて、アガペーの愛。それこそが、至高の愛であるっていう。っていうふうにいわれている。そっからプラトニックラブが来たんです。ところが、本当に話をすると、彼の言ってるアガペーは、男同士の愛のことを言ったんです。

小林&記者: へええええ!

鈴木: まあ、本来人間っていうのは、男要素と女要素、両方持ってるで、それが合体したもんだっていうんですね。普通の人間は男と女が合体したのが元になってるんで、男女が惹かれ合う。でもまれに、男同士が合体した男がいる。で、それは本当の人間として優れている。彼らは本当の男だから、男同士で惹かれ合う。それこそがプラトニックラブのアガペー。

記者: だいたいの男女が、それぞれ男と女の要素を持っている気はしますが。

鈴木: そうですね。だからギリシャの神秘学では、女って一切出ないんです。神秘学のなかでは下等なものであるから。「男こそが真の人間である」という、非常にフェミニストの皆さんが不快になりそうなことなんですけども。

記者: 事実として昔はそういう話があったと。

鈴木: そう。

記者: 今回はそのプラトニックラブがちょっと入ってくる。

鈴木: まあ女の子同士ですからね、逆ですよ。だからプラトンとしては一番否定するべきところ。

記者: 男同士じゃないから。

鈴木: はい。つまりそれは、精神的な愛ではなくて、もっと大地からくるもの。たとえばシャクティというのはインドの思想です。その、インドの思想の中ではシャクティっていうのは、人間のパワーとして一番強いものだと言われています。で、シャクティは何かって言われたらば、どっから生まれるかっていうと、会陰部から生まれてくるそうです。会陰部っていうのは性器と肛門の間です。

そこに、クンダリニーの蛇っていう力の源泉が眠っていて、シャクティを表します。シャクティが発動すると、蛇が目覚めてずーっと脊髄を登っていきます。それに連れて身体のチャクラが活性化します。そのパワーをMPにして魔術が使えるんです。そうした魔術とかシャクティとかエロスとか、それをどこまでぶっこむかなと、いろいろ考えて計画してるんです。

記者: 絵に負けないシナリオになりそうですね。

鈴木: 頑張ります。

・まずはウインドウズとアンドロイド
記者: すばらしいですね、期待しかない。ちなみに発売日は決まっているんですか?

小林: いえ、何も決まっていないですね。いまクラウドファンディングの成果次第でどうなるかが決まりますね。

鈴木: 500万円だからね

小林: 500万円だからね

記者: 500万円をファンディンすると。

小林: そうですね。

記者: 500万円に達しなかったらどうするんですか?

小林: 足りなくなったらオールオアナッシングです。

鈴木: ということは「十三月のふたり姫」がなくなっちゃうってことですか?

小林: なくなっちゃいます。

記者: なるほど。

小林: 500万円集まらないとナッシングです。

記者: 500万円を超えて集まる可能性もあるわけですよね。

小林: そうなれば、より豪華なものを作ります。

記者: シナリオや絵が増えたりとか?

小林: そうですそうです。

鈴木: まず絵が増えます。絵が増えて、ストーリー分岐が増えて、もう、好き放題やれます。

記者: 好き放題(笑)。そもそも描写として文字と絵と音とアニメーションがあり、ゲーム性もあるわけですよね?

小林: 基本的には分岐があるアドベンチャー、日本でいえばアドベンチャーシステムですよね。

記者: なるほどなるほど。世間でいうところの「サウンドノベル」的なもの。

小林: そうです。それの、すごい豪華なアニメーションっていうのを最終型はイメージしていますね。

記者: プラットフォームは?

小林: ウインドウズとアンドロイドから始めます。で、それがまず作っておいて、そのあとIOSとか、マッキントッシュっていう感じです。

記者: 結構iPhoneユーザーは多いと思うんですけど、あまり時間は空けずに出す?

小林: 一番最初にできるのがウインドウズで、次がアンドロイド。iOSは結構敷居が高いです。

記者: 審査が。

小林: 審査もあるし、作るの自体めんどくさいんですよ!

鈴木: ユニティで作る予定なんで、そこまでひどくはなんないと思うんですけど。

記者: なるほど。

小林: まずウインドウズとアンドロイドで一番最初に出そうと。

鈴木: ぶっちゃけた話、ユニティで作って、特殊なことをやんない限りそれほどアンドロイドからアイフォンへの移植ってのは厳しくはないんですけども、まあ、若干やりにくいところはあります。

・ゲームミュージックの流れを変えた人
記者: 音楽担当の増子さん、女神転生の邪教の館のBGMを作られたと聞きましたが。

鈴木: いや邪教の館だけじゃない。

小林: ぜんぶですよ!

鈴木: 全部作ってます!

記者: それは、ファミコンの女神転生から?

鈴木: もうずーーっとそうですね。

記者: どのあたりまで。

鈴木: どこまでだっけ。途中で変わってるんですよ。いや、あのねー、えーと、デビルサマナーあたりまでくらいかな?

小林: サターンね。

鈴木: そのあとちょっと別の人が変わってやってるんですけど。

記者: じゃあ、その方が当時はアトラスの方だったんですか?

鈴木: もちろんです。アトラスの創設メンバーです

記者: なるほど。そのあと独立されて、今回またお願いをしたんですね。

鈴木: そうですね。でその増子さんに音楽を頼むときに、もう一人僕と友達の企画がいたんですよ。そいつと二人でメタルとプログレねって注文して、それでやってもらいました。

記者: なるほど! またファンタジーにメタルを持ち込むのですね

鈴木: そうですね! それまではあんまりメタルとかプログレっていうのはなかったんですよ。なのでそこをがっつり入れてもらって、メガテンの世界ができました。

記者: 今回も入るんですか? メタルとかプログレは。

鈴木: 今回はどうなんだろ。多分プログレ系……

小林: いやわからないね。

鈴木: オルタナ?

小林: わからないね、一曲しかないからね、まだほんとどうなってくか。

鈴木: ちょっとオルタナ。

小林: プログレ系が似合うと思うんですけど。

鈴木: いやでもね、プログレってね、結局オルタネイティブロックに進化していくじゃないですか。だからそっちの方向をもうちょっと追及してくかなって感じの気がします。まっこちゃん(増子)がいないけど、一応言っとく。

小林: まあとりあえず一曲目は素晴らしい曲あげてくれたからね。

鈴木: そうですね。

記者: ゲーム業界のゲームミュージックの流れを変えた方ですからね。

鈴木: はいそうです。彼はすごいことに、アセンブラができるんですよ。プログラマとしても、できるんですよ。さらに音源作っちゃうんですよ。メガテンはそっからのスタートだったんで。

記者: 音源を作って、それを自分で当てはめていったと。

鈴木: そうそう。ものすごく頭のいい人です。

・増子さんが最初持ち込んだ企画
記者: そういえば鈴木さん、とある大型ゲームは残念な結果に終わったという話ですが、今回は完全な再起動ですね。

鈴木: あーーーー。そうですね。あれは本当に惜しかったですね。あの、要はあのクレームによって滅びたっていわれている噂があるんですが、まあそれ以上の色んな大人の事情があって、ここでは言えないムニャムニャっていうね。そういうことで、潰れましたね。で、決してその出来が悪かったわけじゃないんですよ。で、スタッフの技量が足りなかったっていう公式に発表されておりますけれども、スタッフの名誉のために言えば、そんなこと決してないです。もっと政治的な判断としてちょっとなくなってしまったっていう。

記者: スタッフの能力が足りないとかってことは決してないっと。

鈴木: ないです。シナリオ全部作りましたし、かなりの自信作だったんですけどね。

記者: シナリオも全部作ったんですか。

鈴木: はい。

記者: もったいない。どうなるんですかそれ?

鈴木: ははは。いや、どうなるんですかって言われても……没ですよ。

記者: 没ですか。

鈴木: はい。完全没です。

記者: 鈴木さんは漫画の原作をやられるそうですね。

鈴木: 漫画の原作は3本ぐらい舞い込んできて、ダイスの目が変なのが出てたって感じで(笑)。それの企画書をいま頑張ってかいてるところですね。

記者: まだまだ秘密の部分が多いんですね。

鈴木: 秘密ですね。

記者: 小林さんは今回の「十三月のふたり姫」ではどのようなポジションなのでしょうか? 改めてお教えいただければと思います。

小林: ポジションはプロデューサーです。座組として「この人にこれをお願いして」的なことをして、制作進行をしつつ、手が足りないところを手伝うなどします。シナリオを手伝って書いたりだとか、テキストワークをやったり企画を出したりします。そういうところで、最終的なところまでゴールまで導く感じですね

鈴木: だから今回の宣伝材料の歌詞とか動画の部分とかシナリオは小林さんが書いた。

記者: つまりこのゲーム、小林さんから始まった企画ということでしょうか。

小林: そうですね。増子さんが最初持ち込んだやつを、今回の座組「十三月のふたり姫」の企画にしようと考えて立ち上げました。

記者: そして小林さんの会社のほうで開発をしますよと。

小林: そうですね。

・アオガチョウさんの絵にポエム
記者: 鈴木さん、増子さん、アオガチョウさん、の三人とお仕事をした感想をお聞かせください。

小林: いやもう全然、それぞれ才能ある方なんで、何の心配もない。

鈴木: めんどくさいことがないよね。

小林: めんどくさいことないですよね。いや、あの単純にそれぞれ別で僕の友達だからやりやすいのはあるんですよ。それはあります。だから「まったく知らないところからお願いします」をやってるわけじゃないので。

鈴木: あのー、ほんとにちゃんとできる人って、協調性があるんですよね。この場で、自分のベストはこれだろうってことをやってくれるってやつなんですよ。

記者: 小林さんの人脈がなかったらできなかった話でもありますよね。

小林: んーーだってほら、僕声かけやすい人にしか声かけないですから。自分がかかわる全部の仕事がそうなんですけど、この人にやってほしいってときは、まずその人のクリエイティブだけじゃなくて、人柄を知ってることが大事ですよ。

何をどう頼んだら気持ちよく仕事してくれるかがわかるので、だから普段からいろんな人に知り合うようにして。いざというときにお願いできる人脈を持っとくっていう形をやっているんで、いつもよく、ゲーム業界にいる「あの人は知り合いだから、俺の言うことなんでも聞くから」っていうタイプのプロデューサーとはまったく違う。

鈴木: それ言っちゃっていいんですか(笑)。

小林: いいんじゃないですか?

記者: 誰とは言ってない(笑)。

小林: 誰とは言ってないけど、これ言った瞬間に500人ぐらいが、俺だっていうから(笑)。

鈴木: いやいやいや(笑)。五百人もプロデューサーいないでしょ(笑)。

記者:「十三月のふたり姫」のクラウドファンディングで高額の投資をしてくださった方に、アオガチョウさんが絵を描いてくださるそうですね。

鈴木: オリジナルで一点描いてくれるんでしょ?高額者に

小林: はい、あのある程度の金額以上入れた方には、アオガチョウさんがオリジナルで描きます。

鈴木: その人向けに?

小林: はい、その人だけに。

鈴木: 私はポエムを作ってあげよう。

小林: ポエム作ってください。

記者: その、アオガチョウさんの絵にポエムを書き入れるんですか?

鈴木: そうです(笑)。

小林: 一人一枚、肉筆アートを描いてくれるんですよ。それに鈴木さんが文章を書いてくれます。その人だけの。

鈴木: いや、ポエムです。大司教からです

記者: なるほど。クラウドファンディングは安い金額から投資できますよね。

小林: そうですね。

記者: あれはファンとしてはうれしいですよね、結構。

小林: ちなみにいちばん高額な投資額の100万円は一名だけなんですよ。100万円出していただいた方にはアオガチョウさんが肉筆でA2の絵を描きます。

鈴木: おーーーすげーーー!

小林: 30万以上はA3。10万円以上でA4カラー。アオガチョウさんのA2の絵ってすごいと思いますよ。

記者: そうですよね。わざわざ描いてくださるんですもんね。

鈴木: でもね、あの人すごいことに、下書きなしで描くんですよ。 あの、もうなんていうか天才ですよね。

記者: おいくつなんですか?

鈴木: いくつだろう?

小林: 知らない。

鈴木: 165歳ぐらい。

小林: 人魚の肉食べてる。

鈴木: そうそう魔女だから。

記者: なるほどなるほど。

小林: 人魚の肉は食べてる。

鈴木: じゃあ寿命は800歳。

記者: 本日はありがとうございました。

13g1

・メガテンレジェンドと天才的アーティスト
女神転生シリーズの世界観を作ったゲームデザイナーの鈴木一也氏、その音楽を生んだ増子津可燦氏、そして「真・女神転生IMAGINE」を支えたプロデューサーの小林正和氏。そんなメガテンレジェンドに天才的アーティストのアオガチョウ先生がくわわった作品。期待しないほうが無理である。

・伝説的ゲームになるのは間違いない
クラウドファンディングで資金調達をしている「十三月のふたり姫」。女神転生の開発に携わってきたレジェンドスタッフが送る伝説的ゲームになるのは間違いないが、500万円に到達しなければ、このゲームは消え去ることになる。

新たな伝説を体験したいことは、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で投資してみてはいかがだろうか。投資者だけが得られる特典も贅沢だ。

もっと詳しく読む: 女神転生スタッフが新たな伝説ゲーム「十三月のふたり姫」を開発 / 開発者インタビュー(バズプラス Buzz Plus) http://buzz-plus.com/article/2018/04/23/illusionary-tales-the-13month/

参照: 十三月のふたり姫 / Kickstarter

「【革命】女神転生スタッフが新たな伝説ゲーム「十三月のふたり姫」を開発 / 開発者インタビュー・メガテン開発秘話」のページです。デイリーニュースオンラインは、鈴木一也十三月のふたり姫女神転生カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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