世界初、男性生殖器の全体移植に成功。機能も取り戻す(アメリカ)※解剖図あり

カラパイア

世界初、男性生殖器の全体移植に成功。機能も取り戻す(アメリカ)※解剖図あり
世界初、男性生殖器の全体移植に成功。機能も取り戻す(アメリカ)※解剖図あり


 アフガニスタンに派兵されていた若き米軍兵士が、爆弾により負傷、男性生殖器を失った。

 ジョンズ・ホプキンス大学の外科医らは、亡くなったドナーから陰茎、陰嚢、腹壁の一部を摘出し、それらを元兵士に移植した。

 これまでも、生殖器の移植は行われていたが、全体移植は世界初となる。医師らによると、これによって兵士は性機能も回復する予定だという。

・戦争の口にできぬ傷

 今年3月26日、11人編成の手術チームによって14時間にもおよぶ手術が行われた。これは従軍中に負傷した元兵士に、陰嚢やその周囲の腹部といった一部位の組織をまるまる移植するという初の試みだ。

 YOUTUBEで手術手順に関する映像が公開されている。
First Total Penile and Scrotum Transplant | Johns Hopkins Medicine

 ジョンズ・ホプキンス大学の整形外科部門の長であるWP・アンドリュー・リー博士は性器の負傷を「戦争の口にできぬ傷」と呼ぶ。

 四肢の切断は目に見えますし、それによる障害も明らかだ。だが怪我の中には表からは見えず、しかもその影響が他人から理解されないものもある。

 リー博士は、2014年に開催された大学のシンポジウムで、負傷兵の配偶者や家族、看護者から性器の怪我が患者のアイデンティティ、自尊心、親密な関係に与える甚大な影響についての話を聞いていた。

 手術を受けた匿名の元兵士は、大学が発表した声明の中で、「朝に起きて、ようやく大丈夫なんだという日常感を感じました」と述べている。

3_e6
性器再建に関わった医療チーム
image credit:John Hopkins Medicine


 彼の怪我はアフガニスタンで爆弾を踏んでしまったことで負った。

 この手術の医学的な名称は「血管付複合同種移植(vascularised composite allotransplantation)」と呼ばれる。つまり皮膚、骨、筋肉、腱、血管を扱う処置だ。元兵士の術後の経過も良好で、完治するまであと6ヶ月から12ヶ月くらいだという。

2_e8
image credit:John Hopkins Medicine

 なお、今回の手術では、倫理的な観点から睾丸の移植はされなかった。手術自体は可能だが、移植してしまうと、兵士の精子ではなくドナーの精子が生産されてしまうからだ。

 残念なことに元兵士が自分の遺伝子を受け継ぐ子供を作ることは叶わないそうだが、それでも性機能は回復するはずなので、精神的苦痛は取り除けるだろう。

 なお世界初の男性器移植の成功例は2014年、南アフリカの外科医によるものだ。アメリカでは2016年のマサチューセッツ総合病院での移植が初の事例である。

References:.hopkinsmedicine/ written by hiroching / edited by parumo
「世界初、男性生殖器の全体移植に成功。機能も取り戻す(アメリカ)※解剖図あり」のページです。デイリーニュースオンラインは、海外などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧