AI時代到来で求められる「サービス」の本質とは? (2/2ページ)
東京、埼玉を中心にクリーニング多店を展開している「株式会社喜久屋」は、新しいサービスの仕組み化に成功し、需要が減っているクリーニング業界で躍進著しい企業だ。
同社では、新たな価値を顧客に提供するための取り組みを行っているという。
その一つが「eクローゼット」というサービスだ。このサービスでは、通常のクリーニング費用だけで、最長で半年間、防虫、防カビに対応した倉庫で衣服を預かってもらえる。つまり、春にクリーニングした冬物を、秋頃まで預けられるのだ。
これによって生み出されるのは「顧客の自宅スペースの余裕」という付加価値だ。
注目すべき点は、顧客にとって嬉しいサービスでありながら、同社の経営にもプラスに働いているところにある。
衣替えの時期になると、クリーニング店における洗濯作業の稼働率は跳ね上がる。その反面、通常時の稼働率はそこまでではないし、雨天時には落ち込む。閑散期ともなれば作業量と人、設備、施設の釣り合いが取れずコストだけがかかってしまう。
しかし、「eクローゼット」によって、引き渡しが半年先だと決まっていれば、わざわざ繁忙期に洗濯作業を行う必要はない。相対的に作業量が少ない時期に洗濯作業を行えば、人、設備、施設の稼働ロスを軽減することができるのだ。
これは店側の利益や稼働を最大限に伸ばしつつ、顧客へのサービスを提供している好例と言える。
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日本のGDPのおよそ7割を占め、雇用の大きな受け皿もなっている「サービス産業」。AI時代の到来で消える職業が出てくると言われるなか、サービス産業の持つ役割はますます大きくなっていくことが予想される。そんな時代を迎えるに当たって、従業員やスタッフの肉体的、精神的負担や会社のリスクを減らしつつ、顧客の満足度を高める「サービス」の在り方を考えることは急務だろう。本書からは、そのためのヒントが得られるはずだ。
(ライター/大村佑介)