秋津壽男“どっち?”の健康学「虚血性心不全は男女どちらが発症しやすい?薬ではなく生活習慣改善で防ぐことができる」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「虚血性心不全は男女どちらが発症しやすい?薬ではなく生活習慣改善で防ぐことができる」

 男女の性別によって発症率が大きく違う病気があるのをご存じでしょうか?

 特に虚血性心不全という病気です。これは心臓の血管が硬くなり、心臓に酸素が行かなくなった結果、狭心症や心筋梗塞を引き起こす疾患です。心臓の働きが悪くなったまま、残った部分がかろうじて動いている状態を指します。文字どおり、血管の詰まり=虚血から起こる心不全です。「動くと疲れやすい」「息切れをしやすい」などが前兆となります。

 そもそも、虚血性心不全は心筋に栄養を送る血管「冠状動脈」が動脈硬化を原因として狭窄、閉塞することで発症します。

 動脈硬化は女性ホルモンである「エストロゲン」が予防効果を果たします。エストロゲンは血管をしなやかにして内臓脂肪の分解をしやすくする働きがあります。つまり女性は閉経するまでは動脈硬化にかかりにくいのです。もちろん閉経後は男性と同じ条件となりますが、閉経後=スタートが遅い分、男性に比べて狭心症や心筋梗塞になりにくく、男性のほうが虚血性心不全にかかりやすいのです。

 動脈は血流に合わせて1日10万回も拡張と収縮を繰り返し、体の隅々まで血液を送り届ける役割があります。本来は十分に太くて軟らかな動脈が硬くなる症状で、狭心症や心筋梗塞のほか、脳梗塞などさまざまな病気を引き起こします。

 例えば動物性脂肪の多い高カロリー食を続けると、血中のコレステロールや中性脂肪が増え、脂質を増加させます。つまり肥満となるわけですが、肥満による脂肪が血管壁に付着して血管が詰まり、動脈硬化となります。

 こうした動脈硬化の危険因子は「高血圧」「脂質異常症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」「ストレス」であり、これらは全て生活習慣が原因の病です。このように男性は、生活習慣病にもかかりやすいとも言えるのです。

 高血圧は「体重を減らす」「塩分を減らす」「適度な運動をする」の3つで改善されます。糖尿病も「体重を減らす」ことで血糖値が下がります。毎日の炭水化物の摂取量を半分にするだけで改善されますし、中性脂肪が高い人は糖質とアルコールを制限するだけで低くなります。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「虚血性心不全は男女どちらが発症しやすい?薬ではなく生活習慣改善で防ぐことができる」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2018年 5/31号虚血性心不全“どっち?”の健康学生活習慣病秋津壽男カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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