目と耳の両方が不自由な男性が飛行機内に。どうやって助ければ?15歳の少女が率先して男性を導いていくその姿にやさしさが連鎖した(アメリカ)

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目と耳の両方が不自由な男性が飛行機内に。どうやって助ければ?15歳の少女が率先して男性を導いていくその姿にやさしさが連鎖した(アメリカ)
目と耳の両方が不自由な男性が飛行機内に。どうやって助ければ?15歳の少女が率先して男性を導いていくその姿にやさしさが連鎖した(アメリカ)

Lynette Scribner

 もし、目の不自由な白杖を持った人が困っている様子だったらどうすればいいか?「何かお手伝いできますか?」と声をかけてその意思を伝えればいい。

 目の不自由な人が誰かに手助けを求める合図として、白杖を頭上50cmに掲げる「白杖SOS」というサインもでき、普及しつつあるという。

 では、耳が不自由な人が困っていたら?手話ができなくとも、筆談という手がある。紙と鉛筆、あるいはスマホなどがあれば、難しくはないだろう。

 だが、目と耳、その両方が不自由な人だったらどうやって意思の疎通を図ればいいのだろう?助けてあげたくてもそれを伝えるにはどうしたら?

 アラスカ航空の機内に目と耳の両方が不自由な男性が乗り込んできた。彼をどうやって手助けすれば良いのかわからない。客室乗務員は困り果て、「サポートができる人は手を貸してほしい」と機内アナウンスをした。

 すると1人の少女が名乗り出た。彼女は大人たちの戸惑いをよそに、その男性と意思の疎通を図ったのである。その方法はというと...

・視覚と聴覚に障害を持つ男性

 一部始終を見届けてフェイスブックに投稿したのは、オレゴン州に住むリネット・スクリブナーさんだ。

 リネットさんは、ボストンのローガン空港で、ある男性が姉妹らしき人と一緒にいるのを見かけた。後に判ることになるが、この男性の名前はティムさんである。姉妹を訪問して帰宅しようというところだったのだ。

 リネットさんは、ティムさんと姉妹とのコミュニケーションを見て、彼が視覚と聴覚の双方に障害を持っていることを察した。

 その後リネットさんが乗り込んだ飛行機に、ティムさんも一人で搭乗してきたのである。ティムさんの席は、リネットさんが座っている列の、真中の座席であった。

airport_pixabay

・サポートしたいのだが、意思の相通が難しく…

 ティムさんが搭乗してからの様子を、リネットさんはこう書いている。

 通路側に座っていた男性は、その席を快く譲りました。この時点では、ティムさんは一人旅でした。

 客室乗務員は心からティムさんをサポートしたいと願っていましたが、コミュニケーションの手段がなかったのです。ティムさんが彼らの顔や腕に触れても全く嫌な顔ひとつしませんでした。

 客室乗務員たちはおのおの、意思の疎通を図ろうとしてティムさんの手を取ったりしていたが、残念ながら、ほとんど効果はなかった。

 また、ティムさんに席を譲った男性は、コーヒーにクリームを入れてあげたり、ティムさんがトイレに立てばすぐにその後を追ったりと、何くれとなくサポートしていたのである。

 その間、客室乗務員たちは対応策について相談していた。そして、乗客に向けて「サポートができる人は手を貸してほしい」とのアナウンスを流したのである。

passenger_pixabay

・名乗りを上げた15歳の少女。男性を指文字でやさしく導く

 アナウンスに応えて名乗り出たのが、15歳の少女、クララさんだ。

 クララさんは第二言語として、ASL(アメリカ手話)を学んでいた。彼女はディスレクシア(識字障害)を持つため、他の言語よりASLの方が習得が簡単だったのだ。

クララさんがティムさんの手の中で一文字ずつ指文字をつづる様子は、とても魅惑的でした。ティムさんはクララさんの指文字を読み取ることができました。二人は生き生きと会話を続けていました。

 指文字を触って読み取ってもらうのは、視覚と聴覚を失ったヘレン・ケラーに、家庭教師のサリヴァン先生が用いた方法だ。

ASLの指文字の例
ASL_Public_Domain


・クララさんから広がった、機内のやさしさの連鎖

 クララさんはフライトの間中ティムさんに付き添い、ニーズが満たされるよう心を配っていた。

 そして、ティムさんからはジョークも飛び出し、手話を少しだけ習ったことがあるという隣席の男性がそれに応えた。

 同じ列に座っていた私たち皆が笑い、微笑みました。ティムさんの、話し相手がいるという喜びが伝わって嬉しかったのです。

ティムさんのニーズを満たそうと東奔西走した、アラスカ航空のフライト・アテンダントの皆さんに惜しみない賞賛を。

 そして、クララさんについては、私の言葉では表しきれません。全くためらわずに同乗客を助けようとしたのです。

 嫌なことが多すぎるくらいのこの時代にも、お互いに助け合おうとする人々がいることを思い出させてくれました。

References: Sunny Skyz / Facebook など / written by K.Y.K. / edited by parumo
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