「フランダースの犬」の舞台、ベルギーの世界遺産「アントワープ聖母大聖堂」の魅力 (2/4ページ)
大聖堂は「キリスト降架」「キリスト昇架」「キリストの復活」「マリア被昇天」という、美術館も顔負けのルーベンスコレクションを誇り、「フランダースの犬」に登場する少年ネロは、「キリスト降架」を一度は見たいと願っていました。
かつては、「キリスト降架」と「キリスト昇架」は分厚いカーテンで覆われており、銀貨を払った人だけが見ることを許されていました。もちろん、貧しいネロは銀貨を払うことなどできません。
「きっとルーベンスは、貧しい人に絵を見せたくないなんて思わなかったはずなのに」というネロの発言には、「フランダースの犬」の原作者ウィーダによるそうしたシステムへの批判が込められていました。
・「マリア被昇天」

ネロが毎日のように眺めていたのが、主祭壇に飾られている「マリア被昇天」。聖母マリアが、天使たちに囲まれて天に召される場面が描かれています。
生々しさが漂う「キリスト昇架」「キリスト降架」に比べ、この作品には幻想的な空気が強く漂い、聖母マリアの優しさや清らかさが強調されているように感じられます。
ネロはこの慈愛に満ちた聖母マリアの姿に、まだ見ぬ母の面影を重ねていました。
アニメ「フランダースの犬」の最終回では、この絵から天使たちが降りてきて、ネロとパトラッシュを天へと連れていきます。この場面を思い出しただけで胸がつまるという人は、少なくないことでしょう。
・「キリスト昇架」「キリスト降架」

アントワープ聖母大聖堂が抱えるルーベンス作品のなかでも、特筆すべきが「キリスト昇架」「キリスト降架」。