秋津壽男“どっち?”の健康学「強い精神的衝撃や恐怖が原因のPTSD。ネットなど情報化の世の中が拍車をかける」 (2/2ページ)
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つまり、対話により、恐怖やトラウマを少しずつ取り除くのです。
例えば「地震による死の恐怖を感じている」そんな人には“地震で死ぬ確率”についてお話しします。
「地震国の日本に住んでいるかぎりしかたないですが、地震で死ぬ確率は交通事故や飛行機事故より低いです。交通事故で死ぬ人は1年間に約4000人ですが、だからといって怖くて道路を歩けない、という人はいません。地震で死ぬ人を平均化すると交通事故やガンで死ぬ確率の何倍も低いです」
続けて、こうお話しします。
「杞憂という言葉をご存じですか? 杞とは古代中国の国の名前ですが、この国に住んでいた人が『空が崩れ落ちてきたらどうしよう』と心配していたそうです。つまり起こるはずのないことを憂いてもしかたない、取り越し苦労という意味です」
こうした話に耳を傾けた人には、続けて耐震構造など地震に備えるための知識をお話しします。あるいはグループセラピーや催眠療法、自己暗示療法など、さまざまな方法を試みて、それでもダメな場合は次の段階として「薬物療法」となります。とはいえ悲惨な光景を目の当たりにした方にはカウンセリングも効果が見られないケースがあります。精神的ショックが大きいほど薬物療法も致し方なくなりますが、薬に頼るのは最後の手段とするべきです。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。