黙示録かな?アリゾナの砂漠で発生した巨大な壁のような砂嵐
今月9日、アメリカのアリゾナ州南部の高速道路8号線上に、走る車を遮ってしまうほど巨大な壁が出現した。
道路を遮る黙示録的な現象に遭遇した人はギョっとびっくり。
実はこれ、ハブーブと呼ばれる強力な砂嵐だという。
嵐を追いかけ撮影するストームチェイサーが現地でとらえた映像が公開されていた。
July 9th, 2018 - Haboob/Dust Storm across SW Arizona
・中は砂だらけ!巨大なハブーブを通ったストームチェイサー
嵐の追跡を生業とするストームチェイサーのマイク・オルビンスキーは この現象を嵐につながる「雷雨の兆し」とにらみ、大急ぎで現地に向かった。
image credit:MIKE OLBINSKI
だがそれは彼の予想していた嵐とは違う途方もない砂の壁だった。
オルビンスキーは夕方にその風景をカメラにおさめた。が、夜になってその中を通過せざる得なくなり、トラックごと窒息させられるような目に遭った。
image credit:youtube
通過中は猛烈な砂や塵により視界を遮られた。時速80~120kmもの風が吹き荒れ、砂が彼のトラックを研磨していった。
「あの塵の嵐はドライバーが思わず車を止めるほどひどかった。激しすぎて身の危険を感じたぐらいだ」
ハブーブはアラビア語で風や強風を意味する。アメリカ南西部に位置するこの砂漠地帯ではモンスーンの季節を迎えた時期に襲来する確率が高い。この嵐は雷雨を伴って、荒れた砂漠に大量の雨を降らせることもある。
・砂を巻き上げながら移動する雲を形成
アメリカ国立気象局(NWS)のアリゾナ州フェニックス支部に勤務し、警告を要する気象の専門家であるケン・ウォーターズよると、それらの雷雨は条件が整っていれば、高地または山岳地域から低地の砂漠に移動するという。
image credit:MIKE OLBINSKI
「雷雨はそこで一度すべてのエネルギーを使い果たします。そして雨で冷えた空気が下降して突風となって吹き出し、地面の砂や塵を巻き上げるんです」
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「その塵は高く舞い上がり、たいていは急速に動く大きな雲を形成します。それが移動するにつれさらに大量の塵を舞い上げるんですよ」
ハブーブ襲来を告げるNWSアリゾナ州フェニックスのツイート
835pm: Severe winds about to blast through Yuma. Dense blowing dust and winds around 60 mph probable. Stay indoors and away from windows. #azwx pic.twitter.com/Le41RNsT7C
— NWS Phoenix (@NWSPhoenix) 2018年7月10日
・路上の一般車は退避。ライトも効かない危険な砂嵐
ウォーターズは今回のハブーブが移動した距離はおよそ400kmと見積もっている。
この規模だと、その間に時速130~160kmの塵混じりの風が吹いたりする。また、過去には高さ1800m以上ものハブーブが640kmも移動したこともある。
「その道路を行けば非常に危険な目に遭う恐れがあります。ライトの光も役に立たず、1.5~3m向こうは見えなくなるでしょう。私たちならそこを走り続けるのもでるかもしれませんが、中は暗いでしょうねぇ」
走っていた車が次々と高速道路から逃げ去ったのも無理はない。一部のストームチェイサーしか残らなかったのはそれなりの理由があったのだ。
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自然への畏怖を感じるよりほかない猛烈な砂嵐。嵐が得意のマイク・オルビンスキーでも、砂だらけの嵐にはヒヤリとさせられたようだ。
References:mashable / youtube / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo