秋津壽男“どっち?”の健康学「緊張の汗と運動の汗との違いは何か?命に関わる加齢による汗腺機能の低下」 (2/2ページ)
対して、手のひらや足の裏、ワキから生じる「精神性」の汗はアポクリン腺を経由するためベタついており、脂質やタンパク質など臭いのもととなる成分を含んでいます。人前で話したり、初対面の人との会話など、緊張が要因となるため「緊張汗」とも呼ばれています。
中でもワキは、エクリン腺とアポクリン腺が共存する箇所で、温熱性と精神性、両方の汗を出します。同じワキ汗でも、運動中の汗と、仕事や緊張などストレスによる汗で臭いが異なるのは、汗腺が異なるためなのです。足の裏を例にすると、精神性の汗は両足で1日約200ミリリットルほど出ます。
また、二つの汗は気持ちよさも異なります。運動中の汗は温熱性でリラックス効果があり気持ちいいものですが、ストレスや緊張により過剰な分泌となる精神性の汗は、多汗症という症状につながることもあります。特に更年期の多汗症は、主にストレスが要因ですので、休日は運動や趣味に打ち込むなどしてください。
こうした汗腺機能は加齢により鈍ります。加えて、温度や外気の環境に鈍感になり、さらに発汗もない状態で知らずに脱水症状に陥り、熱中症に陥るケースも少なくありません。高齢によるエクリン腺の機能低下は、命に関わる深刻な事態となりうるので、今の時期は注意してください。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。