秋津壽男“どっち?”の健康学「緊張の汗と運動の汗との違いは何か?命に関わる加齢による汗腺機能の低下」 (1/2ページ)

アサ芸プラス

秋津壽男“どっち?”の健康学「緊張の汗と運動の汗との違いは何か?命に関わる加齢による汗腺機能の低下」

 夏になると汗が気になる季節。関東では6月中に梅雨明けし、本格的な暑さが到来しています。ここで質問です。健康のバロメーターである汗ですが、緊張の汗と運動の汗の成分に違いはあるでしょうか。

 例えば、気温27度で1時間歩くと汗の量は約200ミリリットルに達します。気温26度でサッカーをすれば、90分間で発汗量は約2リットル。運動中以外にも、入浴(43度に10分間つかると約400ミリリットル)や睡眠(29度で8時間眠ると約500ミリリットル)でもかなりの量の汗をかいています。

 そもそも汗とは「熱くなった体を冷やす」ラジエーターの役割をしており「体温調節の手段」です。

 夏の炎天下では座っているだけで汗が噴き出ますが、汗が体をクールダウンしてくれるので、私たちは暑さを乗り切れるのです。仮に汗をかかない人の場合は10分ともたないでしょう。

 さらに、汗の量が少ないと新陳代謝が低下しているとも言えます。エネルギーを体内に蓄えてしまう体質は肥満体質につながります。免疫力も落ちますし、冷え性になるなど悪いことずくめです。

 中には汗をあまりかけない「無痛無汗症」という遺伝性の難病の方もいらっしゃいます。この場合、全身の痛覚がないため痛みを感じないばかりか、発汗が低下することで体温の制御がきかず、高体温や低体温になってしまいます。そうなると、熱中症や急性脳症などの可能性も高くなります。汗をかくたびに「臭くて嫌だ」「ベタつくのがうっとおしい」と思うかもしれませんが、汗をかくのは体が正常に機能しているという証しなのです。

 ちなみに汗をかいたら水分と塩分補給が必須です。人間が摂取する塩分は1日平均11グラムですが、3リットルの汗をかくと9グラムほどの塩分を喪失するので塩分補給も重要となります。熱中症対策として、水分と塩分を同時補給できるスポーツドリンクが最適です。

 発汗には高温や運動で生じる「温熱性」の汗に、緊張やストレスが源となる「精神性」の汗も存在します。

 額や全身から噴き出る「温熱性」の汗はエクリン腺という汗腺を経由しており、無臭でサラサラしています。加えて、体温調節も担っています。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「緊張の汗と運動の汗との違いは何か?命に関わる加齢による汗腺機能の低下」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2018年 7/19号“どっち?”の健康学汗腺秋津壽男カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る