ウェールズの大将ウォーバートン復活ならず… W杯前年に衝撃の引退発表

ラグビーリパブリック

2015年のW杯準々決勝で敗れた直後のサム・ウォーバートン。ウェールズが誇るリーダーで、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズでも活躍し、今年3月には大英帝国勲章を受賞した(Photo: Getty Images)

 22歳からウェールズ代表のキャプテンを務め、4年に一度結成されるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズでも大将としてチームをけん引した世界的スターのサム・ウォーバートンが、7月18日、現役引退を発表した。昨年に首と膝の手術を受けて長期リハビリに取り組み、所属するカーディフ・ブルーズによれば、最近、プレシーズントレーニングに参加するためチームに戻っていたが、彼自身が設定した高い基準には到達できないと感じ、引退を決断したという。

 まだ29歳と若く、来年のワールドカップでもウェールズ代表をけん引するだろうと期待されていたウォーバートンだが、「残念ながら、自分の健康とこれからの人生を最優先に考えてラグビーから引退することを決めた。私の身体は私が望んでいたものには戻らなかった」とコメントしている。

 ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズの主将として臨んだ2017年7月8日のニュージーランド代表戦を最後に、プレーできていなかった。

 ライオンズの指揮官も務めたウェールズ代表のウォーレン・ガットランド ヘッドコーチは、ウォーバートンの決断について非常に残念と語り、彼のすばらしいリーダーシップ、ラグビーに取り組む態度、パフォーマンスを振り返り、「世界において、最高で、最も尊敬される選手のひとりだった」と称えた。

 ウェールズ代表としてテストマッチ74試合に出場(49試合で主将)、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズでは5キャップを重ねた。10歳でラグビーを始めた頃から地元クラブのカーディフ・ブルーズでプレーすることを夢見、2009年の入団から引退を決意するまで同チームでは106試合に出場した。

 ワールドカップにおけるウェールズ代表歴代最年少主将として臨んだ2011年の大舞台では、身体を張ったプレーで24年ぶりのベスト4入りに貢献したが、初の決勝進出をかけたフランス戦で危険なタックルをして一発退場となり、フィールドの外で敗北をかみしめたことがある。

 つらい経験も重ねてたくましくなったウォーバートンは、やがて世界最高のフランカーのひとりと呼ばれるようになり、2012年にシックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)で全勝優勝を遂げ、翌年に連覇を達成。そして、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ史上2人目となる、2回連続(2013、2017年)のツアーキャプテンを務め、2013年のオーストラリア遠征では16年ぶりにテストシリーズ勝ち越し、2017年のニュージーランド遠征ではテストマッチ1勝1分1敗という戦績だった。2015年のワールドカップでは、死の組と呼ばれたプールAで開催国のイングランドを破るなどして準々決勝進出を果たした。

 カーディフでは、2009-2010シーズンに欧州チャレンジカップ優勝に貢献し、ウェールズ勢として初めて欧州タイトルを獲得した。

 しかし、昨年9月、トレーニング中に長年痛めていた首を悪化させて手術を受け、12月には同じく古傷を抱えていた膝にメスを入れ、プレーをすることができなかった。当初は、首が治るまで4か月、膝が回復するまで4~6か月と見られていたが、本人が望んでいた状態には戻らず、苦渋の決断をしたのだった。

 ウォーバートンを失ったウェールズは来年のワールドカップで、オーストラリア、ジョージア、フィジー、ウルグアイと一緒のプールDに入る。

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ライオンズ主将として臨んだ昨年7月8日のNZ戦がラストゲームとなった(Photo: Getty Images)
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