台風、ゲリラ豪雨 九死に一生を得る危険回避術10カ条

週刊実話

 すでに今、どこでゲリラ豪雨が発生するか、台風がどのコースをたどるか皆目見当がつかない状況となっている。結局、我々は自分で身を守る術をしっかり身に着けておかなくてはならない。
 「先頃上陸した台風12号は、関東圏から東海、西日本、そして九州に停滞と、見たことのない逆コースをたどった。西日本豪雨もしかり、気象庁でも予測が立たない事態は、今後もたびたび起こると思われます」(サイエンスライター)

 こうした台風やゲリラ豪雨の危機について、防災ジャーナリストの渡辺実氏はこう言う。
 「市街地では時間雨量にして30ミリ、24時間で100ミリを超えると水害が起きると言われています。下水管はまったく空の状態で時間50ミリを排出できるというのですが、常に20ミリぐらいの水は流れているため、30ミリ以上降ると能力を超えてしまう。これは都市部での一つの目安でしょう。しかしこの時期、30ミリ以上の雨などしょっちゅう降る。西日本豪雨では、6月28日から7月9日にかけ、長野、岐阜、徳島、高知4県の15地点で累積1000ミリを超えたという。これでは国土が持ちませんよ」
 こうしたことからも、“1時間30ミリ以上”の雨が降るという気象情報を見たら、まず不要な外出は避け、戸建ての住人は避難準備に入るべきだろう。

 ゲリラ豪雨になりそうな時や、水害が起こる直前に知っておくべきサインもある。
 「上空に寒気が入ると、地上は暑いのに上空は冷たい状態となり、お互いの空気が混ざろうとする。これによって大気が不安定になり、ゲリラ豪雨をもたらします。積乱雲ができた際、ひんやりした風が吹いてくるのも、そのためです。台風で言えば、台風本体の雲が流れてくると、雨粒の大きさが2倍になり、見た目が明らかに変わる。これはその後、豪雨になるサインです。また普段、何もないところを湧き水がちょろちょろ流れ始めた場合は、鉄砲水の兆候と言えます」(同)
 そうした変化に気付いた時は、高くて堅牢な建物に移動する行動力を持つべきだ。

 老婆心ながら付け加えれば、よく現場を見に行こうとして増水した川にはまって流され、溺死したという事故を耳にする。
 「人間はどうしても、現場を見たい、知りたいという欲求が出てしまいがちですが、絶対にやってはいけない。西日本豪雨の教訓ですよ。現場を見に行くなど自殺行為のようなもの。そもそも見に行ったところで、どうにもなりませんからね」(同)

 西日本豪雨の被災地では、水に浸かったEV車(電気自動車)が散見された。
 「EV車は、水に浸かると重くて動かない。おまけにドアは電気的にロックがかかってしまい、どうにもなりません。水没した場合は一刻も早く車外に出るべきですが、そもそもドアは水圧で動かない。窓を割って脱出するしかありません。窓にはそれぞれ特徴があり、フロントガラスは内側からは割れないので、結局、両側の窓を割るしかないのです。その際、先の尖った物を使えば、比較的容易に割ることができるので、車内には常に用意しておくといいでしょう」(同)

 また、そのEV車やHV車(ハイブリッド車)には200ボルト以上の高電圧システムが搭載されており、損傷などによって露出した高電圧ケーブルなどに接触すれば感電による死亡、または重傷を負う恐れがあるという。
 「水没した際、車体と高電圧回路が絶縁され、感電事故が発生しないように対策がされているそうで、水没した車両の近くの水の中にいても感電の心配はないとのことです。しかし、車内に異物が混入したり水が入ることからショートしやすくなっているケースがあります。そのため、水没から数時間経過した後に車両火災に至る可能性もあるのです」(同)

 むやみに電源を入れた場合、車両火災につながる恐れがあるという。つまり、水没した車は無理に移動しようとせず、その場からまず離れて専門の業者に依頼して処理してもらう方がよさそうだ。
 「問題は、これだけ自然災害大国でありながら、HV、EV車だらけになっている状態です。国もメーカーも、こうした処置方法は声を大にして言うべきでしょう」(同)

 西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町のように、二つの川に挟まれた地盤の低い土地は他にも多くある。三重県津市は古代から中世には、安濃津と呼ばれ繁栄を極めたが、室町時代後期に起きた南海トラフ地震の明応地震による大津波によって、壊滅した。現在も地盤が低く、河川が氾濫しかけたことが何度もある。
 「そうした土地は、特に5階以上の建物については上の階を避難空間として用意するようオーナーとよく話し合い、取り決めをしておくべきです。あるいは、食料備蓄など3階以上にすべての住人を移せる環境を整えておくこと。また、一人住まいの高齢者は、避難準備情報が出た段階で四の五の言わせず避難させること。こうしたことは、自治体、地域、お隣同士で前もって綿密に話し合っておかなければ実行できない。すでにそうしたキメ細やかな対策を取るべき時に来ているのです」(同)

 ちょっとした知識と対策で、命拾いするかもしれないのだ。

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