結婚を前提に転居、家具購入…「突然の破局」に費用の請求はどうなる?

まいじつ

(C)Elnur / PIXTA(ピクスタ)
(C)Elnur / PIXTA(ピクスタ)

秋篠宮眞子内親王と婚約が内定している小室圭さんが8月7日、米国留学のため成田空港から出発した。眞子さまと離れ、3年間の予定で弁護士資格の取得を目指すという。

ひとまず結婚は延期だそうだが、婚約関係が続いているのかどうか、報道ではよく分からない。まあ、婚約解消なんて一般にもザラにある話。離婚するときの金銭トラブルとしては慰謝料や養育費などが代表的だが、婚約解消のときも、お金でもめるカップルは少なくない。

都内の会社員、木村武雄(仮名・34歳)さんは今年5月に2DKのマンションに引っ越した。ジューンブライドという彼女の希望をかなえるために、結婚式場も6月に予約していた。新居の内装はほとんど彼女の好みで壁紙を変え、カーテンを取り付けるなど準備万端。

しかしその後、性格の不一致で別れることになってしまった。

2DKは木村さん1人では広過ぎるし家賃も高い。彼女の選んだ内装も好きではないという。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いといったところだろうか。そして、彼女が欲しいという家具も買ったが、支払いの多くは木村さんのクレジットカードだった。「いくらかでも彼女に請求したい」と木村さんはぼやく。

さて、法律的には、婚約破棄による損害賠償請求が可能か否かという問題になってくる。どちらかが浮気をしたとか、多額の借金が見つかったということなら、責任の所在もはっきりしているのだが、どちらか一方に破棄の責任があるとはいえないような場合についてはどうなのか。

「結論から言えば、婚約破棄に基づく損害賠償請求は認められず、木村さんも彼女に転居費用や内装・家具の費用の一部または全部を請求することは難しいでしょう」と、金銭問題に詳しい弁護士は語る。

ただ、彼女の方から一方的に性格の不一致を理由に婚約を破棄してきた場合には、正当な理由なく婚約を破棄したことになるので、婚約破棄に基づく損害賠償請求は可能であり、彼女に費用請求することもできるそうだ。

別れることを見越して初めから折半にすべき?

木村さんのケース以外にも、婚約している場合は新婚旅行の予約や式場キャンセルなども考えられる。

「それらの費用も、正当な理由なく婚約を破棄されたケースでは、相手に請求することができます。どちらか一方に破棄の責任があるといえないケースでは、特に費用負担の取り決めをしていない限り、相手に請求するのは難しいでしょう」(前出の弁護士)

また、婚約破棄に正当な理由がある場合について、この弁護士はこう語る。

「例えば、相手が行方不明になったり、暴力行為や虐待、著しく社会常識に反した言動、あるいは性交不能などが考えられます。一方的に性格の不一致を理由に婚約が破棄されたケースでは、正当な理由なしと判断されることが多いようです。ただし、たとえ正当な理由なく婚約を破棄された場合でも、婚姻は当事者の意思でなされるものなので、相手を婚姻させるよう強制することはできませんし、婚姻の履行請求という形で訴訟を起こすこともできません」

イマドキは、木村さんのように結婚してから新居に一緒に住むカップルばかりとは限らない。特に婚約はせず、同棲しようとした場合はどうなのか。

「恋人と同棲しようと思って内装・家具などの代金を支払ったものの、同棲し始めてすぐに性格の不一致や相手の浮気などで別れてしまったような場合にも同様の問題が生じます。その場合には、婚約をしていないので、原因が何であれ、原則として費用請求はできません」

木村さんは彼女が20代半ばであり、収入的に差があるということで自分が“前払い”していたのだが、婚約しているか否かにかかわらず、また、同棲の場合であっても、もともと費用負担を折半にしておくのが賢明というわけだ。

なお、余談だが、結婚する前に性格の不一致が判明して良かったという考え方もある。実際に結婚してから別れるのは、法的にもハードルが高いからだ。

「結婚を前提に転居、家具購入…「突然の破局」に費用の請求はどうなる?」のページです。デイリーニュースオンラインは、法律相談婚約離婚法律カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る