東京五輪のボランティアが「やりがい搾取」と呼ばれないために必要なこととは? (2/2ページ)

新刊JP

しかし、社員のモチベーションは高く、連日遅くなろうが、休みがなかろうが、泊まり込みになろうが、平気な顔で仕事をしていたとのこと。

スタッフはみな、バスケ好きなメンバーばかり。「バスケには夢があります」「バスケの競技人口もファンも実は多いんです」と目を輝かせながら話していた。ただ、やみくもに長時間頑張るものの、結果に結びつかず、低賃金、長時間労働が常態化していたという。社員はやがて疲弊していき、労働意欲も下がり、収益も悪化するという悪循環に陥っていた。

そもそもが、バスケ好きが集まってできた組織。悪意はなかったかもしれないが、「好きなことをやっているんだから、ぜいたくは言えない」という論理が透けて見えたという。

この悪循環を抜け出すために、島田氏がまず行ったことは「残業の禁止」。それだけだと、仕事が滞ってしまうので、生産性を上げる組織に生まれ変るための改革を行った。それが、結果を出した分だけ給与を上げる、ということだった。

労働に見合った対価を与えることで、仕事への意欲も生まれ、効率化が進み、利益の生まれる組織体質へと変貌を遂げることができた。長時間労働で疲弊していた社員たちも、十分な休養をとってリフレッシュして、さらに前向きに仕事に打ち込むようになったという。

ボランティアを軽視すれば大会運営に支障が出る

「好き」「やりたい」という気持ちだけでは、意欲的に取り組むといっても限界がある。

韓国の平昌冬季五輪では、ボランティア向けの宿泊施設の環境が劣悪で、大会前に約2000人のボランティアが離脱した。またブラジルのリオデジャネイロ大会では、5万人いたボランティアのうち、約1万5000人が途中で会場に現われなくなった。リオのボランティアにはユニホームのTシャツが配布されたのみ。食事と交通費は自己負担だったようで、その結果、大会運営にまで支障が生じかねない事態を招いた。

2020年の真夏の東京は、過酷な現場であることは間違いない。島田氏の例にもあるように、きちんとした報酬を約束することは一つの手だろう。ボランティアという前提のため、日当などの支払いが難しいのであれば、条件面での整備をより進めるという方法もある。今後の状況は予断を許さないが、ボランティアの人々が気持ちよく働ける環境を整えることが、五輪の成功のための一つのカギになるのはまちがいない。

(新刊JP編集部)

「東京五輪のボランティアが「やりがい搾取」と呼ばれないために必要なこととは?」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る