汚れた服が原因でいじめられている生徒がいることを知った校長、学校にランドリーを設置(アメリカ)

カラパイア

汚れた服が原因でいじめられている生徒がいることを知った校長、学校にランドリーを設置(アメリカ)
汚れた服が原因でいじめられている生徒がいることを知った校長、学校にランドリーを設置(アメリカ)


 生徒が学校へ来られなくなるのには様々な理由がある。だが、家庭の事情だったり、体調の問題だったりする場合もあるだろうが、学校での「いじめ」も決して少なくない割合を占めていることだろう。公言はされないとしても、だ。

 実は、アメリカの学校では共通して、ある問題がいじめと不登校のきっかけとなることが多いらしい。ニュージャージー州、ニューアークにあるウェストサイド高校でも同じであるということが判明したのだ。

 そこで、校長が問題の解決に乗り出した。学校内に、とある設備を整えたのである。


ウェストサイド高校のアクバー・クック校長にお会いしました。この写真の舞台は新しいランドリー設備。クック校長は、着ているものが清潔でない、という理由で生徒たちがいじめられていることに気づきいたのです。校長は5台の洗濯機と5台の乾燥機を学校に設置しました。これからは、生徒たちは学校で、無料で洗濯できるのです。すばらしい。


・洗濯ができないのでいじめられる

 衣服を理由にしたいじめは、ウェストサイド高校での大きな問題であった。この理由で、実に、生徒の85%が、月に3~5日間学校を休むのである。

 「教室の後ろの方に座ってる子たちが、前の方の子たちについて、こう言っていました」と生徒の一人は地元メディアのインタビューに語っている。『臭いし、汚れた服を着ている』って」

 問題の根本には、洗濯機がなく、また両親共に長時間労働に従事しなければならない家庭が多い、という問題がある。

 また、「いじめ」は学校内にとどまらない、とクック校長はこういう。「例えば、前の席に座っている生徒の襟元を写真に撮って、スナップチャットにあげるんです。『この汚ねえやつを見てくれ』と」

 「だから、家に帰ってもいじめから逃れることはできないのです。ソーシャルメディアで広まってしまっているから」

 また、校長はセキュリティ・チェックを逃れようとした女子生徒の例も語った。その生徒は、ホームレスで汚れた服を持ち歩いているのを他人に知られたくなかったのだそうだ。

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image credit: Wink News

・必要なのは「洗濯ができる環境」

 今年、同校の副校長から校長に就任したクック氏は、ニューアークのPSEG(パブリック・サービス・エレクトリック・アンド・ガス)から約222万円の寄付を引き出した。そして、フットボールチームの古いロッカールームをランドリールームに改装し、洗濯機と乾燥機を5台ずつ設置した。

 新しいランドリールームがソーシャルメディアで話題になると、アマゾンのウィッシュリストを利用して、地元のコミュニティから洗剤や乾燥機用柔軟剤の寄付が集まった。そのおかげで、生徒たちは費用の負担ゼロで洗濯ができるのだ。

 ウェストサイド高校のソーシャル・ワーカー、ジャミラ・ハモンド氏はこう語る。「今までは、生徒たちが相談に来ても、石鹸と手を使った昔ながらの方法で洗うように言うしかありませんでした」

 「ランドリールームができたので、これからは手洗いしなくてよくなるのです」

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image credit: Wink News

・アメリカに蔓延する問題

 そしてまた、この問題はウェストサイド高校に限った話ではない。NPO "Feeding America" の調査によると、低所得家庭の4分の3近くが、リソース不足で洗濯や皿洗いを省略すると回答している。

 電器メーカーの " Whirlpool" は、教育NPOティーチ・フォー・アメリカと協働の "Care Counts" というプログラムの下、10の地域の公立学校でランドリー設備の導入を開始している。家庭で洗濯ができない環境にある生徒たちのためだ。

 初年度にランドリー設備が導入された6つの地域での追跡調査の結果、「リスクが高い」と評価された生徒たちの出席日数が、82%から91%へ、一月当たり2日近く上がったことが判明した。そのうちの半数以上については、長期欠席のリスクが解消されたという評価であった。

 現場の教員からの回答では、調査の対象となった生徒たちの95%について、クラスでのモチベーションが上がっている。また、課外活動への参加や、他の生徒との交流についても、積極的になったそうだ。



References: Sunny Skyz / WINK News / PR Newswire など / written by K.Y.K. / edited by parumo
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