どこか懐かしい男女3人半同棲の現代物語『きみの鳥はうたえる』 (2/2ページ)

まいじつ

この3人の気分も、佐藤がこの原作を発表した81年に近いあのころ(昭和50年代)と共通する。当時、この3人と同世代、似たような環境だったボクとしては、たとえ浮草な日常でも、将来に対する不安なんぞあまり感じず、友達同士でよくツルんで行きつけの店で飲んだり遊んだり、バカをやったり、身近で手近な女の子とくっついたり別れたり、そんな男2人女1人というと“トライアングル・ラブ”に分け易い。

確かに『冒険者たち』(67年)の昔から青春映画の定番だが、この3人は、その定番から軽やかに逸脱する。適度に爽やかで、適度にかっこ悪い。そのさじ加減が実に素晴らしい。新鋭監督・三宅唱は、安易な破滅もサクセスも描かない。若い日々を生きる者たちの“呼吸”とはこういうもの、そういえば確かにそうだったよな、と久々に思い起こさせてくれる。中高年世代にもビターでスイートな感慨を与えてくれる好編! と断言したい。

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