山口・2歳児発見の“神ボランティア”尾畑春夫さんに『週刊大衆』が密着
8月12日、山口県周防大島町で行方が分からなくなった2歳の男の子。警察や消防が140人体制で捜索したが、見つからなかった。行方不明から3日目、地元の大分県から自家用車で駆けつけるや、わずか30分で見つけた“スーパーボランティア”が、尾畠春夫さん(78)だ。
尾畠さんは、西日本豪雨の被災地である広島県呉市で8月の後半2週間、ボラティアをしていたのだが、そこで『週刊大衆』記者が目にしたのは驚異の活動量。ノンストップで動き続ける彼に、同行取材した!
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8月27日、朝6時前。記者は、呉市内の小学校の片隅に停まる軽自動車の前にいた。
「毎日、朝5時に起きます。明日もそう。9時から始まるボランティアの前に、近くの川で、まだ見つかっていない“ねえさん”を探し続けているんです」(尾畠春夫さん=以下同)
前日にこう告げられていたため、まだ薄暗い中、取材に来たのだ。尾畠さんは毎日、車の中で眠る。シャワーもないし、エンジンをつけないから冷房もない。ちなみに、尾畠さんは男性をすべて「おやっさん」、女性を「ねえさん」と呼ぶ。
6時になると、足早に川に向かうのだが、驚くべきは、その速さ。30代の記者よりも、とにかく早く歩く。
「まだ一人だけ、ねえさんが見つかってないんですよ。旦那さんがいるらしいんだけど、どんな人か分からない。頼まれてないけど、かわいそうで毎朝、探しているんです」
道路から3メートルほど下がるコンクリート壁を川底まで降り、スコップを片手に、ひたすら土砂やガレキと格闘する。鼻をつく臭いが立ち込める中、作業を黙々と2時間続けるのだ。
「ボランティアはさせてもらっているもの。だから、臭いとか疲れたとか言ってはいけない。対価を受け取るなんて、とんでもない。させてもらっているわけだから。それに、どんなことでも諦めてはいけないんです。行動しなければ結果はついてきませんから、とにかく最後までやる」
しかも、この間、「尾畠さ〜ん」と多くの人が話しかけるが、その都度、全力で話し、笑わせるのだから、側にいて、ただ驚くばかりだ。
朝食は、川での作業を終えてから。この日は、前日の夕方に地元の方からいただいた、トンカツを乗せたご飯とメバルの刺身。とはいえ、食事中も多くの人が訪れて写真や会話を求められる。話すのに熱中するうち、猫にトンカツを奪われて、「泥棒猫め!」と笑顔で叫ぶ場面にも遭遇した!
9時からは、他の作業員と一緒にボランティア活動をする。ここでも“ファン対応”に追われたが、尾畠さんはイヤな顔せず、すべて笑顔で応える。
この日の作業は、被災した家の床下に溜まったヘドロのかき出しだ。夕方まで、被災者の生活再建のために働く。15分の作業で10分の休憩が必要なほど暑く、熱中症になる人も少なくないが、動きは止まらない。
昼食は、本来は電子レンジの加熱が必要な“パック飯”に水を入れて梅干しを乗せた物。差し入れがなければ、基本的に毎日の朝食と昼食はこれ。記者にもご馳走してくれたが、これが意外と柔らかくて、うまい。
夕食は食べたり食べなかったりするそうで、この日は結局、食べなかった。ボランティア後は、深夜0時まで自動車前でファンやマスコミ関係者と話す。しかも、これが毎日続いているというのである。
連日、わずかな睡眠で、酷暑の中の重労働。しかも、健康保険は11年間使っていない。その常人離れした体力と健康の源はいったい、どこにあるのか。
「“医は食にあり”っていうように、健康は食事にあると思っています。だから私は“おいしい物”は食べません。食べるのは、“体に良い物”だけ。大分にいるときとボランティア中で食べる物は違うけど、この考えは変わりません」
大分にいるときは、
「ブラジル産の鶏肉や、魚をよく食べます。魚は、市場などで余ったような小さい魚ですね。なんでもいいです。とにかく、安く済ませたい。1か月5万5000円の年金で生活していますから」
食事にお金をかけないのは、ボランティア活動で必要になるから。大分から広島も、山口県周防大島までも、一般道を走ってきた。
「金がなくても、腹が減ったら雑草を食べればいいんです。シロツメグサなんて、どこにでも生えてるし、おいしいですよ」
こう言って、目の前のシロツメグサを食べて見せた。
現在発売中の『週刊大衆』9月17日号では、引き続き尾畑さんへの同行取材を決行。取材中に尾畑さんが語った夢の話などを掲載している。