落語の主役はドジな庶民だけじゃない。実在した歴史上の人物が活躍する噺もいろいろあります

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落語の主役はドジな庶民だけじゃない。実在した歴史上の人物が活躍する噺もいろいろあります

落語といえば、江戸庶民を描いているものが多いですが、江戸時代に実在した人物が活躍する落語もあるのです。それでは、どんな人物が活躍しているのでしょうか?

まずは、完成時代に活躍した力士の谷風梶之助(たにかぜ かじのすけ)です。

小野川喜三郎(右)・谷風梶之助(左)・行事木村庄之助

彼は、雷電(らいでん)と共に花形力士と言われていました。仙台生まれで、七十場所で負けはたったの二十回と圧倒的な強さ。そんな谷風が登場するのが、落語「佐野山」です。貧乏だけど心優しく親孝行の力士・佐野山のために谷風が情け相撲を仕組むというストーリーです。

あの有名な町奉公の大岡越前守忠相(おおおかえちぜんのかみただすけ)も、落語に登場していました。

大岡忠相像

八代将軍・徳川吉宗による享保の改革を進められたのは、大岡越前守忠相の力があってこそ。落語では、「三方一両損(さんぽういちりょうぞん)」では三両落とした男、拾って届けた男が口論しているところを裁き…二方二両得になるという話。

歌舞伎役者・中村仲蔵(初代)(なかむらなかぞう)も、お忘れなく。

初代 中村仲蔵 (勝川春章 画)

彼は「仮名手本忠臣蔵」で斧定九郎(おのさだくろう)役を工夫して演じ、従来の定九郎とはひと味違うと一躍大人気に!落語「淀五郎(よどごろう)」では、役になって演じることの大切さを中村仲蔵が教えています。実際に下役の役者から修行して、名題になることができた努力家ならではの役ですね。

江戸時代中期に圧倒的な人気を誇った高尾太夫(たかおだゆう)も、落語に登場しています。

月岡芳年 画

この話は知っているという方も多いのではないでしょうか?「紺屋高尾(こうやたかお)」です。花魁道中を見て三浦屋の高尾大夫に一目ぼれした紺屋(染物屋)の職人が、高尾に会いにいくため、必死になって働き…というストーリーです。実は、紺屋高尾は、三代目高尾とのこと。

こういった歴史上人物が登場する落語も面白いのですが、おっちょこちょいなダメ人間が登場する落語の方が圧倒的に多いですね。ときに泥棒が出てくる落語もありますが、間抜けな泥棒ばかり。

落語に完全なる悪人が登場しないのは、江戸時代という平和な時代に落語が生まれたという時代背景があるからでしょう。落語を通して、当時の庶民そして歴史上の人物がどんな人か知ることで、江戸時代への関心が深まるかも?!落語は、江戸時代を体感するのに最適の娯楽なのです。

参考文献:ゼロからわかる!図解落語入門大江戸ものしり図鑑

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