天才テリー伊藤対談「宝田明」(4)名前どおりのお宝話がすごすぎるよ

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天才テリー伊藤対談「宝田明」(4)名前どおりのお宝話がすごすぎるよ

テリー 実は、僕が初めて映画館で観た映画が「ゴジラ」だったんですよ。6歳ぐらいだったと思うんですけど、すごく怖くて最後まで観られなかったです。宝田さんがゴジラを初めて見た時の印象は、どうだったんですか?

宝田 いや、僕も怖かったですよ。撮影に入ったものの、特技監督の円谷英二さんから送られてくる絵コンテと「体重2万トン」みたいな数字の情報ぐらいしかなくて、実際のところ、どんな生き物なのかよくわからなかったんです。

テリー あ、出演者でもそんな感じだったんですね。

宝田 撮影が半分ぐらい終わったところで、撮影所にマスコミを呼んでゴジラをお披露目することになりました。そこに、身長2メートル以上のゴジラがノッシノッシと歩いてきたんです。もう、あのギザギザ、デコボコの体を触るだけでも気味が悪くてね。取材の記者の方に「宝田さんと河内さん、ゴジラとおしくらまんじゅうしてください」なんて言われましたけど、「いやいや、無理です!」と(笑)。

テリー でも、不気味で当たり前なんですよね。なんせ、核兵器が生み出した怪獣ですから。

宝田 そうですね。宣伝部からも「広島、長崎、それからビキニ環礁で第五福竜丸の惨劇を見つめてきた被ばく国として、世界に向けて警告を発信するのだ」と説明を受けましてね。「だからお前、心してやれ」とクギを刺されて、とにかく必死にやりましたね。

テリー そのかいあって、大ヒットしましたよね。

宝田 当時の日本の人口が8800万人ぐらいだったんですけれど、961万人の方が観てくださった。国民の約1割ですから、ものすごい数字ですよ。

テリー ちなみに、あの頃の主役のギャラはいくらだったんですか?

宝田 確か、40万円ぐらいだったと思います。

テリー 当時の大卒の初任給が1万2~3000円ですから、すごい額だ。

宝田 「これで一杯飲み屋や焼き鳥屋の借金が一気に返せるな」と思ったんですが、岡田や藤木あたりが、「おう宝田、主役よかったな」なんて、たかってくるんで、すぐなくなりましたけどね(笑)。

テリー 本当に仲がいいんだなァ。でも、本を読んであらためて思ったんですが、宝田さん、ものすごく記憶力がいいですね。満州の頃の記憶もそうですし、三船敏郎さんが宝田さんに黒澤監督のあれこれを愚痴った話もおもしろかったですよ。

宝田 「蜘蛛巣城」の話ですね。鷲津武時演じる三船さんが無数の弓矢に狙われる有名なシーン、普通ああいう時はピアノ線を使って矢を誘導するものなんですよ。ところが、あのクソ馬鹿リアリズムの黒澤明という人は、それを使わない。

テリー 本当に三船さんを狙って矢を射ったんですよね。怖い話だ。

宝田 ええ。射ったのは、いわゆる範士・錬士と呼ばれる弓道の名人たちなんですが、これがみんな腰の曲がった老人ばかりでね。しかも20メートルぐらい離れたところから狙ってくるから、もう本気で逃げ回るんです。三船さん、「黒澤の野郎、いまにバズーカ砲でぶっ殺してやる!」って言っていました(笑)。

テリー アハハハハ、お名前どおりの、お宝エピソードだらけですよ。まだまだいろいろ聞きたいのに、全然時間が足りないなァ。

◆テリーからひと言

 まさに永遠の二枚目。さらにその記憶力のよさにも驚かされました。これからも、日本の宝として第一線でご活躍を。また楽しい話を聞かせてください!

「天才テリー伊藤対談「宝田明」(4)名前どおりのお宝話がすごすぎるよ」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2018年 9/13号宝田明三船敏郎ゴジラテリー伊藤連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
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