武士の肝試し:幽霊なんか怖くない?頼光四天王「平季武」の肝試しエピソード(上) (2/4ページ)
こういう時、たいていお調子者の一人くらいはいるもので、
「さすがにこんな夜更けに行けるヤツぁいなかろうなぁ」
原文 「只今、其ノ渡二行テ渡リナムヤ」……
と、自分の恐ろしさをごまかそうと、みんなを大いに煽り立てたところ、一人の武士が名乗り出ました。
「頼光四天王」の一人・平季武月岡芳年『和漢百物語』より、卜部(平)季武。慶応元1865年。
「よし、そんなら俺が今すぐ行って来てやらぁ」
原文「己ハシモ、只今也トモ行テ渡リナムカシ」
彼の名は平季武(たいら の すえたけ)、その名が示す通り武勇衆にすぐれ、主君の信頼も篤く「頼光四天王(らいこう してんのう)」の一人として大活躍する豪傑です。
しかし、他の家来たちは恐れをなして彼をとどめます。