秋津壽男“どっち?”の健康学「白髪を抜くと増えるのは本当? 間違い?加齢だけでなくストレスも大きな要因」

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秋津壽男“どっち?”の健康学「白髪を抜くと増えるのは本当? 間違い?加齢だけでなくストレスも大きな要因」

 かつて、若白髪が気になった経験のある人は少なくないでしょう。「白髪を抜くと白髪が増えるよ」などと言われたこともあるかと思います。

 いきなりですが、ここでお題です。この説は本当でしょうか、それとも間違いでしょうか。

 白髪自体は生え始めてきたからといって、すぐに増えるわけではありません。早ければ20代、通常は30~40代で生え始め、40代も中盤になると徐々に増えてきます。白髪が増える要因はさまざまです。一般的に加齢が知られていますが、遺伝やストレス要因で増えるケースもあります。

 ストレスを受けると自律神経が乱れ、血管が収縮して血行が悪くなります。その結果として、髪の毛の細胞メカニズムに悪影響を及ぼし、髪の黒色の染料であるメラニン色素による色素合成が行われなくなり、白髪を生やしてしまいます。ひどい場合には、白髪どころか円形脱毛症になることさえあります。

 ストレス以外にも睡眠不足などの生活の乱れも白髪を増やす要因となります。寝不足になると、頭にまで血液が行き渡らなくなり、メラニン色素を育む細胞が減って白髪が増えてきます。こうした場合、頭皮をマッサージして血行をよくするのも一つの手です。

 睡眠に適した時間「ゴールデンタイム」は午後10時から深夜2時ですが、ゴールデンタイムとは成長ホルモンが活発に分泌される時間帯です。この時間帯に白髪を作るメラニン色素も多く分泌されるため、ゴールデンタイムに寝られず、睡眠時間も短いと白髪が増える要因となります。不摂生は健康に悪いばかりか白髪も増やすのです。

 また紫外線を浴びすぎて白髪が増えるケースも考えられます。紫外線が髪の毛のたんぱく質を酸化させると、髪と頭皮にダメージが積み重なり白髪が増えるのです。

 多くの人が勘違いしていますが、髪の毛とは本来は白いものです。白い髪にメラニン色素が与えられるため、日本人の多くはメラニン色素が濃く黒髪であり、メラニン色素が薄い西欧人は金髪になるのです。したがって、70歳や80歳と年を重ねると、メラニン色素が働かなくなり、多くの人が白髪になるわけです。

 つまり、白髪はこれまで述べたような要因から生えてくるので、抜いたからといって増えるものではありません。「白髪を抜くと増える」のは白髪が増え始める時期に抜いたための俗説です。

 また、白髪と薄毛に直接的な関係性はありませんので安心してください。

 白髪は減らすことも可能ですが、不摂生をせず、食べ物を意識してください。昆布やヒジキ、ワカメなどの海藻類はメラニン色素を作り出すメラノサイトを活性化してくれます。他にメラニン色素のもととなるチロシンも重要な栄養素です。チーズなどの乳製品や大豆に多く含まれています。またチロシンは、メラニン色素を作るためにチロシナーゼという栄養素が必要不可欠です。このチロシナーゼの材料になるのが銅です。牡蠣を食べることにより銅を補うことができます。これらを積極的に食べるように心がけてください。

 若い時期には気になる白髪も、年齢を重ねるほどに気にならなくなるものです。白髪が多いからとあまり深刻にならないことが肝心です。年相応に合わせた考え方をするのがよき人生の過ごし方です。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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