世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第288回 全道ブラックアウト (2/3ページ)
電力会社の収益も悪化し、使用済み核燃料の処理や廃炉の技術開発すら不可能になってしまう。送電設備のメンテナンスコストも削られ、日本の停電率は上がっていく。もちろん電気料金も上昇し、日本の競争力は低下する。
そもそも、火力発電所の新設には土地の選定から数えると、少なくとも10年は必要だ(原発は20年)。10年間、日本のエネルギー安全保障の崩壊を見すごすのか。日本のエネルギー安全保障は、すでに崩壊状態であることを全道ブラックアウトが証明したのだ。つまりは「今すぐ」改善しなければならないのである。
未来永劫、原発を使うべきとは言わない。だが、とりあえず日本はエネルギー安全保障回復のために、原発を再稼働しなければならない。日本の原発は福島第一原発の事故以降、耐震性が著しく強化されている。しかも、東日本大震災の際には、福島第一原発をはじめ、すべての原発は普通に自動停止した。
福島第一の事故は、津波による電源喪失、ただそれだけなのだ。電源喪失の結果、冷却ポンプが動かせなくなり、事故に至った。建屋の屋上にディーゼルの発電機があれば、それで済んだ話なのである。
今回の地震でも、泊原発に対する外部からの電源供給が止まり、非常用発電機でポンプを動かし続けた。原発は、停止していれば「完全に安全」というわけではない。また、北海道電力を含む日本の電力会社の火力発電所は老朽化し、使用に堪えないものが少なくない。それを、だましだまし使わざるを得ない状況に追い込まれているのだ。
火力発電を強化するどころか、一部の発電所は取り壊しをしなければならない時期に至っている。北海道電力の奈井江発電所では、筆者よりも年上の発電所が現役なのである。本来は取り壊すべき。半世紀近く稼働し続けてきた老朽化発電所が、身体にむち打って動き続けている。トラブルやメンテナンスの回数が増えて当然だ。
地震で被害を受けた苫東厚真発電所が復活したところで、老朽化火力発電所に一定の電力供給を依存せざるを得ない状況に変わりはない。
来年2月には石狩湾新港発電所が動き出すが、当初の1号機の出力は56・94万kWにすぎない。2号機以降は、'23年以降の稼働予定となっている(さすがに早めたいところだろうが)。