世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第288回 全道ブラックアウト (3/3ページ)

週刊実話



 また、'19年までに運転年数が40年を超す老朽化火力は、132万kW。石狩湾1号機が動き出したところで、老朽化火力の稼働は、泊原発が再稼働しない限りは続かざるを得ない。

 結局、石狩湾1号機が動き出しても、北海道の電力供給は苫東厚真発電所に極端に依存する構造は変わらない。目の前に危機があり、その解決方法は明らかである。泊原発を再稼働し、とにもかくにも「目の前の危機」を乗り越えるのだ。その後は石狩湾2号機以降の建設を早め、老朽化火力発電所を「引退」させ、さらには水力発電の強化など中期的なエネルギーミックスの確保を目指す。

 その後、原発についてどうするのか。使用済み核燃料の再処理や最終処分、廃炉の技術開発を着々と進めていきつつ、原発をエネルギーミックスの中でいかに位置付けるのかを考えていく。これ以外に、北海道のエネルギー安全保障を回復する道はない。

 今回のブラックアウトは、季節が厳冬期でなかったという点が、本当に不幸中の幸いであった。氷点下20度の世界、しかも、大雪で交通もままならない世界において、ブラックアウトが起きていたら、人類史に残る悲劇になってしまったのは確実だ。ちなみに、冬の北海道は電力需要が500万kW(現在は300万kW台)を超すため、苫東厚真が復旧したとしても、万全には程遠い状況が続く。

「今すぐ」に解決する必要がある以上、北電は泊原発を再稼働しなければならないのだ。政治が動く必要がある。

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みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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