腸と脳をつなぐミッシングリンクを発見か?腸に神経伝達物質の存在が示唆される(米研究) (2/2ページ)

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・腸細胞は神経回路を利用している可能性

 しかしアメリカ・デューク大学のディエゴ・ボオルケス氏らは、腸内に並ぶ感覚細胞が舌や鼻にあるものと同じような性質を持っていることに気がつき、もっと速い伝達経路があるのではないかと考えていた。

 自身のランドマーク的研究となる2015年に『Journal of Clinical Investigation』で発表された論文では、腸細胞にはシナプス(神経の末梢)が存在し、ある種の神経回路を利用していることを示唆している。

 今回の彼らの研究では、その回路のマッピングが試みられた。

 まず緑の蛍光色を付加した狂犬病ウイルスをマウスの胃に入れ、腸から脳幹までたどり着く経路を調べた。するとウイルスは迷走神経を経由していることが判明。これが脳へいたる直接の回路だったのである。

 次にマウスの腸内の感覚細胞を迷走神経と一緒に培養して、腸・脳間神経回路を再現。すると迷走神経は腸細胞に結びつき、発火して信号を生み出すようになることが確認された。

 さらにそこに糖を入れると、発火速度が上昇した。糖からの情報が伝達された速さは、驚いたことに、100ミリ秒にも満たなかった――つまり瞬きよりも速いのだ。

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・神経伝達物質が関与

 このことは、味や匂いなどの感覚を伝えるグルタミン酸塩のような神経伝達物質が関与している可能性を示唆している。

 それを裏付けるかのように、感覚腸細胞のグルタミン酸塩の放出を阻害すると、信号は送られなくなった。

 ボオルケス氏によれば、これは新しい感覚の基礎になる発見だという。脳がお腹いっぱいであることを知る仕組みであるとともに、第六感としての直感(英語で”腸の感覚(gut feeling)”という)が確かに存在することの裏付けにもなるそうだ。

 本研究は『Science』に掲載された。
References:futurity/ written by hiroching / edited by parumo
追記(2018/9/26): タイトルならびに本文の一部を修正して再送します
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