マリア観音、オラショ…。隠れキリシタンたちに受け継がれてきた独特の文化を3つ紹介

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マリア観音、オラショ…。隠れキリシタンたちに受け継がれてきた独特の文化を3つ紹介

激しい弾圧を受けながらも自らの信仰を守り抜いた、隠れキリシタン。長崎と天草地方の「潜伏キリシタン関連遺産」は、2018年6月30日に国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界文化遺産にも登録されました。

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「隠れキリシタン」とは、江戸時代のキリスト教禁教下のキリシタンの中で、明治以降になってもカトリックに再合流しなかった人々のこととされています。

彼らは、家の中に仏壇や神棚がある仏教や神道など日本の伝統宗教の信者として振舞いながら、密かにキリスト教の信仰を守ってきたのです。

今回は、そんな隠れキリシタンたちに受け継がれてきた独特の文化を3つ紹介します。

マリア観音

キリスト教が弾圧されるようになると、キリシタンたちは堂々と聖母マリアの像などに手を合わせることができなくなりました。そこで彼らが密かに観音菩薩像を聖母マリアに擬したのが、マリア観音でした。

マリア観音は、主に幼子を抱いて慈愛に満ちた表情を浮かべる「慈母観音」や「子安観音」の姿をしていました。

元々観音菩薩は男性ですが、慈母観音の発祥の地である中国で女性の姿に変化したのです。
そういえば、神奈川県に鎮座する胸から上だけのインパクト大の大船観音は、マリア観音に少し似ていますよね。

リア観音/Wikipedia

また胸にキリスト教のシンボルである十字架が彫刻されている、開くと中に小さな聖母マリア像があるなど、工夫が凝らされているものもありました。
弾圧されても信仰の灯を絶やさぬように!という隠れキリシタンたちの思いが伝わってくるようです。

オラショ

隠れキリシタン独特の祈りは「オラショ」と呼ばれています。その語源は、ラテン語のオラシオ (oratio)で、祈祷文を意味していました。

オラショには日本語やラテン語などが混ざっていて、ちょっと耳にするとキリスト教の祈りでありながら、まるで仏教のお経を聞いているようにも聞こえてきます。

元々カトリックの祈りやミサの儀式には定型文が用いられることが多いのですが、このオラショも300年間あまりにわたって口伝えに伝えられた呪文のような定型の祈りです。ただし、その意味や内容まで理解した上で唱えている人はあまりいないのだとか。

おしかえ(お札様)

3ヵ月に1度、信者たちが集まって行う運勢占いのようなもので、「お札様(おふださま)」と呼ばれるトランプほどの大きさの木札に簡略化された記号や数字が記されたものを使います。

この「お札様」の元となっているのは、現代のカトリック教会でも祈りと黙想に使われる「ロザリオの15玄義図」といわれています。

「キリストの誕生=喜び=3番の札」「キリストの磔刑=悲しみ=5番の札」など、それぞれの場面に番号と意味が対応していて、中でも聖母子像はいちばん運勢が良い「当たり」です。

信仰を守るうちに独特のものへと変化してきた、隠れキリシタンの文化。これからも日本の文化として、是非残していってほしいものですね。

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