コカ・コーラ桑水流裕策のチーム愛、セブンズ愛、郷土愛。

ラグビーリパブリック

セフンズと15人制の両立時は96~100キロ弱と変動していた体重は、いま103キロで安定。(撮影/松本かおり)

 開幕から4試合続けて黒星が続いた。

 その中で320分、フルにピッチに立ち続けている。

 コカ・コーラのFL桑水流裕策(くわずる・ゆうさく)は今季が加入11年目。副将に就いた。

 昨季も全15試合に先発(1167分のプレー時間)とフル稼動。チームを牽引する気持ちは強い。

 9月22日、東芝に14-29と敗れた後、試合を振り返った。

「アタックで前のめりになりすぎたところでミスが出ました。そこでターンオーバーから攻められた。そのくり返し。セットプレーもラインアウトは取れましたが、スクラムが不安定でした」

 昨季はリーグ戦で13戦全敗。順位決定戦で1勝して14位となったが、三菱重工相模原との入替戦には27-27と引き分け。ヒヤヒヤの残留だった。

 6年連続14位と長く沈んだままだ。

 そんなチーム状況の中で、桑水流は副将として、ベテランとして、チームの先頭に立つ。

 春シーズン、今季の主将であるラファエレ ティモシーはサンウルブズや日本代表の活動に参加。チームを離れていた。だから自分が声を張り上げ、中心となった。練習で先頭に立つのは当然、チームの中から聞こえてくる声にも耳を傾けた。

 いろんな声があった。戦術や戦略に関する意見や疑問。仕事と練習の兼ね合い、つまりラグビー環境についての意見も。

「そういうものの中で、日常の練習時間などを変更してもらい、環境を整えてもらったこともあります。ただ、みんなに言いました。(自分たちのやるべきことを)やり切ってからモノを言おう、と」

 感じることがある。自分が若かった頃、チームは上位進出こそなかったけれど、上位チームをやっつけることがたびたびあった。

「当時は、もちろん戦術や戦略についてもしっかり考えていましたが、その根底に泥臭さというか、メンタルの強さがあった。いまもハードな練習はしています。ただ、自分たちに対するしつこさが足りないのかもしれない」

 チームを愛しているからこそベクトルを内側に向ける。

 2016年のリオ五輪で4位と躍進した男子セブンズ日本代表の主将を務めた。

 翌年の2017年からはレッドスパークスとの契約を「プロ」に変えた。昨季の全試合出場は、その成果でもある。

 所属チームでの責任を果たす一方で、2005年から世界を舞台に戦ったセブンズへの愛もそのままだ。同日本代表の動向が気になる。普及はすすんでいるだろうか。手伝えるものなら手伝いたい。

 2020年には東京五輪が控えているが、桑水流の頭の中の2020年は、故郷・鹿児島で国体が開催される年だ。

「その国体で鹿児島チームが優勝できるように、何かしらの形で手伝えれば、と思っているんです」

 根底にあるのはセブンズへの恩返しの気持ち。いつも「自分はセブンズに育てられた」と言う。

「オリンピック種目なのに、国内のセブンズの環境は整っていません。もっと盛んにしたい。鹿児島にセブンズのチームを作り、そこから発信するのもいいですよね」

 関わり方はまだ何も決まっていないが、思いは強い。

 故郷での地元チームの優勝を、自身の描くセブンズ発展プロジェクトのスタートにできるなら最高だ。

 いまも、セブンズ代表の国際舞台が気になって仕方がない。体がうずうずすることもある。

 コカ・コーラから同代表に選ばれている副島亀里ララボウラティアナラや吉澤太一らともよく話す。

「先日もギャム(副島)から連絡が来ました。(アジア・セブンズシリーズで)キャプテンになったんだけど、どうしたらいいかな、と」

 チームメートや、長く一緒に戦った坂井克行(豊田自動織機)の世界での頑張りは、自分の背中を押すパワーにもなる。

 チーム愛。セブンズ愛。郷土愛。

 いろんなものをエナジーにして走り続ける男は、いつ、どんなタイミングで決断するときが来てもいいように、ピッチに立てば常にすべてを出し切る。

 ひとつでも多く勝利に導き、チームがトップリーグで戦い続けられるようにするのは最低条件。できることなら、以前みたいに人々を驚かせるようなチーム力に引き上げたい。

「そのためには我慢。(いまは不安定な)スクラムだって、もっとやれる。辛抱強くフェーズを重ねられたら穴はあけられる。その手応えは(4連敗の中でも)つかんできています」

 1試合14分、2日間か3日間で5試合~6試合のセブンズ大会だろうが、80分の試合だろうが、勝つか負けるかは、瞬間の積み重ねの先にあると桑水流は深く知る。

 自分こそ、その両方の魅力を伝えられるとわかっている。

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