土用丑の日の「うなぎ危機」、専門店はどう見たか? 福岡の老舗「田舎庵」に聞く (2/3ページ)
シラスを乱獲しているから、資源が減る。これが世界中の常識なんですけど、なぜかそれがすっぽ抜けて、いきなり『食べるな』になっているんです」(仁さん)
シラスウナギは、太平洋のマリアナ海溝付近で生まれ、日本へと流れつく。野生化すると、いわゆる「天然」ものに。シラスを捕獲し、養鰻業者などが育てると「養殖」ものになる。そうしたことから、弘さんいわく「ウナギは『氏より育ち』」。とはいっても、田舎庵の養殖ウナギは、スーパーなどとは違うと胸を張る。
「ウナギは素材由来型です。専門店で食べるウナギと、スーパーで買うウナギ、まったく別物と考えてください。価格の比較もしないほうがいいです。どんな環境で育てているか、温度や水質、生育日数、そういうのが絡み合って、良いウナギができるんです。でも面倒くさいから、皆さん考えないんですね」(弘さん)取材当日に使われていたのは、鹿児島県の種子島産。ほかにも高知や静岡など、各地の養鰻業者をめぐり、池揚げの時期によって、「量販店に出回ってないウナギ」を使い分けているそうだ。
スーパーとの違いは量販店との差は、養殖環境だけではない。焼きの工程にも違いがあるという。
「ウナギを焼くと、グーっと縮みますよね。スーパーではなるべく長さを保とうとして、ちょっとしか焼かない。うちのはよく焼くから、元の半分くらいの長さになる。スーパーのは見た目が大きいけど、火が通ったばかりでプリンプリンとした食感。ウナギは焦げる直前まで焼くのがおいしいんです。だから私はヤキが回ったんでしょうね(笑)」(弘さん)
おしぼりで実演してくれる緒方弘さん
ウナギには牛肉などと違って、生産から流通までを追跡するトレーサビリティー制度が存在しない。そのため、量販店に出回っている蒲焼の中には、消費期限の範囲内ながら、数年前に加工されたものもあると話す。
「そのからくりは、みんな知らないんだよ。『予約販売』と聞いて、明日つくるのかと思いますよね。