世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第289回 安倍政権の賃金統計の嘘 (2/3ページ)

週刊実話

ところが、厚生労働省は共通事業所によるデータを「参考値」としてWEBに掲載していることを理由に、

「補正や手法見直しは考えていない」('18年9月12日 西日本新聞「統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 補正調整されず」より)
 とのことである。

 景気を判断する際の重要な材料である賃金統計が、大きく上振れした形で発表され続けている。ちなみに、ほとんどの政治家は省庁のWEBページに掲載されているデータなど見ない。単純に、新聞発表のみで状況を判断する。賃金統計の誤差は、デフレ脱却を目指す安倍政権の景気判断の甘さにつながることになる。

 何しろ最近の日本の賃金統計に関する発表は、以下の体たらくなのだ。
『実質賃金、21年5カ月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計』(ロイター通信 '18年8月7日)
『6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計』(日本経済新聞 '18年8月22日)
『7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる』(時事通信 '18年9月7日)
『7月給与総額、前年比1.5%増 12カ月連続プラス』(毎日新聞 '18年9月7日)
 21年ぶりの実質賃金の伸び……。
 7月の実質賃金対前年比0.4%増……。

 補正数値である0.8%を加えなければ、前述の2つとも「現実」ではない。それにも関わらず、各紙の記事には毎月勤労統計における「サンプルの変更があった事実」や「補正をかけていない事実」は記されていない。無論、厚生労働省が記者クラブで配る資料に、サンプル変更や補正の話が載っていないためだろう。日本の新聞記者やテレビ記者は、官僚から受け取ったペーパーについて、何の裏取も、WEBの確認すらせずに、そのまま記事にする。結果的に、日本の「情報」は官僚が恣意的にコントロールすることができてしまうのだ。

 厄介なのは厚生労働省の官僚にしても、別に「嘘」は言っていないのである。サンプル変更や補正を無視すれば、日本の実質賃金が「21年ぶり!」の伸びになったことも、7月の実質賃金上昇も事実なのである。

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