カミュ『異邦人』が好きな理由 村田沙耶香・新刊『地球星人』を語る(3) (2/4ページ)
そういうのを見ていたので、「教室の中で甘やかされて調子に乗っていては小さく終わってしまう」と。今思うとすごく生意気ですよね。荒んだ子どもだったんだと思います(笑)。
――ある程度早い時期から小説家という職業を意識されていたんですか?村田:意識していました。ティーンズハートで活躍されている井上ほのかさんという作家がいるのですが、その方が高校生でデビューしたというのを知って、それなら自分も作家になれるんじゃないかと思って、中学生の時に賞に応募しようとしたことがあります。
でも、応募しようと思って書くと、どうしても「大人が喜ぶような小説」を書こうとしてしまって、うまくいかず捨ててしまいました。その時に自分が小説を汚してしまったように思えて、それからずっと「応募するために書く」ということができないままです。

村田:何だか宗教みたいですが、当時は「小説の神様」みたいな存在が物語の世界を支配していて、その存在に捧げるつもりで書いていたんです。だからこそ、大人に喜んでもらうために、彼らが「合格」と判を押すような小説を書くことが汚いことのように思えたんだと思います。
――それからデビューされるまでの間も小説は書いていたんですか?村田:高校受験もあって一旦ワープロを封印したのですが、封印を解いた時には全然書けなくなっていました。そのまま高校時代は書けずに、大学生になって横浜文学学校というところに通い始めて、そこで宮原昭夫先生に出会ってようやく書けるようになりました。その時には書きたいものも、少女小説から純文学に変わっていました。
その宮原先生が、とにかく名刺代わりに何でもいいから小説を書けと。