カミュ『異邦人』が好きな理由 村田沙耶香・新刊『地球星人』を語る(3) (1/4ページ)
出版界の最重要人物にフォーカスする「ベストセラーズインタビュー」。
第103回目となる今回は村田沙耶香さんが登場してくれました。
村田さんといえば94万部を突破した芥川賞受賞作『コンビニ人間』が知られていますが、最新作『地球星人』(新潮社刊)はそれを超える衝撃作。地球は「人間工場」で、人間は繁殖のための道具。私たちが「普通」だと思っている営みが、村田さんにかかれば奇妙で巨大でグロテスクなシステムの回転に思えてきます。
『コンビニ人間』の芥川賞受賞後、どのような道のりを経てこの作品ができあがっていったのか。そして、作家を志したきっかけや本との思い出などについてお話をうかがいました。その最終回をお届けします。(インタビュー・記事/山田洋介)
■『異邦人』のムルソーは「地球星人」ぶらない ――小説を書き始めたきっかけについてもお聞きしたいです。話によるとかなり早くから書かれていたそうですね。村田:何を小説と呼ぶかにもよるのですが、一応小学生の頃から書いていました。5年生くらいには確実に書いていて、6年生でワープロを手に入れて、フロッピーディスクに保存してインクリボンに印刷していたのを覚えています。同じ主人公が出てくるシリーズものでした。ただあれを「小説」と呼んでいいのかはちょっとわからないのですが。
――それを友達に見せたり。村田:友達同士で小説や漫画を見せ合うということはあったのですが、そういう時は「見せる用」の小説を書いて渡していました。「沙耶香ちゃんの小説見せて」と言われたら、友達と同じ名前の子を入れて書いたり。
というのも、子供の友達同士だと絶対褒め合いになるんです(笑)。でも、その輪の中で褒められて満足していたらダメだと思っていて、厳しい目で本当のことを言ってくれる人以外には真剣に書いたものは見せないようにしていました。
――ストイックな子どもですね!村田:「本当の小説は賞に応募するものだ」というのを何となく知っていたんです。多分、当時読んでいた少女小説のあとがきに「○○大賞に応募してね」というようなことが書いてあったんだと思います。