世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第290回 日本は消費税増税をしてはならない (2/3ページ)

週刊実話



 日本銀行が何百兆円の国債を買い取り、おカネ(日銀当座預金)の残高を増やしたところで、モノやサービスが買われているわけではない。政府がプライマリーバランス赤字の縮小を推進し、消費税増税、政府支出抑制に走るということは、モノやサービスの購入を「減らす」ことに他ならない。政府自ら需要縮小策に走り、デフレ脱却できない。当たり前である。

 デフレ脱却していないことを認めた以上、安倍総理は「過去の自らの発言通り」デフレ脱却前の消費税増税は凍結、減税、最低でも延期をしなければならない。興味深いのは、8月27日時点で、来年10月の消費税増税について、
「今回は間違いなくやれる状況になっている」
 と、うそぶいていた麻生財務大臣が、総裁選が終わった途端に、
「(消費税率を)2%アップできる状況をつくるのに全力を挙げる」
 と、明らかに発言を修正したことだ。8月27日から1カ月も経たないにも関わらず、「増税を間違いなくやれる状況」から「状況をつくる必要がある」に日本経済の環境が急転したのだろうか。もちろん、そんなことはない。

 日本経済は端から消費税を増税できる状況にはないのだ。特にひどいのが実質消費だ。実質消費とは、物価の変動を除いた我々の消費である。より分かりやすく書くと、「パンを何個買ったか?(何円、ではなく)」が実質消費なのである。

 '14年4月増税により、日本の実質消費は激しく落ち込み、直近('18年8月)の数値は、消費税増税前の駆け込み消費があった'14年3月と比較すると、何とマイナス16・5%。駆け込み消費の影響がない'14年2月と比較しても、マイナス7.2%である。我々日本国民は、増税前の'13年度と比べて、実質消費が7%以上も落ち込んだ状況にある。

 しかも、怖いのは'14年4月に実質消費が一気に落ち込み(何と「対前月比」でマイナス14%!)、それ以降、全く回復していないことだ。政府は消費税増税による消費の落ち込みは「V字回復する」などと宣っていたが、実際は見事なまでの「L字型」が続いている。当たり前である。何しろ、消費税が「増税されている」という環境は続いているのだ。しかも、実質賃金も低迷しており、日本の実質消費が「V字回復」をするはずがない。
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