小説家がおすすめする小説はおもしろいに決まってる (2/3ページ)
■『異邦人』(アルベール・カミュ著、新潮社)

こちらはちょうど先日インタビューが公開された村田沙耶香さんが挙げてくださった本です。
『異邦人』は学生時代に一度読んでいたのですが、その時は何がいいのかさっぱりわかりませんでした。カミュの小説はよく「不条理」という言葉で評されるので、その言葉をイメージしながら読んだものの、どこらへんが不条理なのかわからなかった記憶があります。
でも、村田さんが『異邦人』についてこんなことを言っていて、「そういうことか!」と腑に落ちました。
主人公のムルソーはお母さんが死んでも、そこで人間的に要求される悲しい素振りをしません。なぜかと聞かれても人間っぽいウソをつかない。(中略)私自身はそういうところでたくさんウソをついてしまったと思います。そんなに悲しくない映画でも「これを見て泣かない人は人間じゃない」と言われたら、悲しかったとウソをついたことがある気がする。
「人間性(とされるもの)への不信と拒否」つまり「人間性を押しつける社会への反抗の小説」と考えると『異邦人』ってめちゃくちゃパンクでかっこいいじゃないか。僕の心の中の中学2年生をくすぐるじゃないか。このインタビューの後、読み返してしまいました。