仲直りする方法は? 大人の親子喧嘩の原因と対処法

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仲直りする方法は? 大人の親子喧嘩の原因と対処法
仲直りする方法は? 大人の親子喧嘩の原因と対処法

親子喧嘩をしたことがない、という人はほとんどいないはず。子どものころと違って、大人になってからの親子喧嘩って気まずいことが多いですよね。謝るのもなんとなく気恥ずかしいし、そもそもどうやって謝ったらいいのかよくわからない。そこで、子どものころの親子喧嘩と大人になってからの親子喧嘩のちがいについて、またこじれてしまった親子喧嘩の解決策について、心理カウンセラーの熊谷佐知恵さんに聞きました。

■子どもの親子喧嘩と大人の親子喧嘩のちがい

子どものころの親子喧嘩というのは、自我が発達していく段階で、親に対して自分なりの意見や理想、正義を手加減なしでぶつけてしまうような喧嘩です。

それに対して、大人になってからの親子喧嘩は、思うがままに不満をぶつけるだけという単純なものではありません。子ども自身がものごとの分別もつくようになり、自分に非があることに気づいていたりします。その結果、自分自身の非を認めたくないという抵抗が、親子喧嘩の際に現れてきます。

また、親に対する被害者意識が強く残っている場合、「(子ども時代に)私に嫌な思いをさせたのは親だ」「ずっと○○してほしかった」といった、過去から続く満たされない思いから、自分から謝ることが不本意だと感じ、抵抗してしまうこともあります。

今起こっていることに対しての不満や文句からはじまる喧嘩ではなく、過去から積み増しされた、恨みつらみなどの思いが入り混じっているというのが、大人の親子喧嘩の特徴でもあります。

■大人の親子喧嘩の原因

では具体的に、大人の親子喧嘩にはどのような原因が考えられるでしょうか。感情的な要因と、経済的な要因にわけて説明します。

◇感情的な要因

先に述べたように、大人の親子喧嘩の原因の多くは、過去から続く「○○してほしい」という思いが満たされないことにあります。「わかってほしい」「助けてほしい」「認めてほしい」「愛してほしい」。その思いに応じてもらえないことに対する、長年抱えてきた不満や文句があります。

加えて、親子関係が強い癒着や共依存の関係になっていると、深刻なまでにこじれてしまうこともあります。

「これだけ長いこと一緒にいるんだから、少しはわかっていてくれてもいいはずなのに」「きっと相手はこう思っているにちがいない」といった期待や幻想。親子間に心理的な癒着があると、自分が想像したことが、現実であるような気がしてしまうのです。その結果、思い込みを強化してしまうこともあります。期待や思い込みが強化されればされるだけ、相手に対して変わることを要求したり、期待を押し付けたりしてしまい、それが原因となって親子喧嘩に発展します。

親と子が、お互いに言い分を持ち合わせていますし、それぞれが自分の主張は正当だと思っています。そのため、喧嘩がはじまると、お互いに引きづらい状況になることも。またこのような親子喧嘩では、親と子どもそれぞれが、「○○してほしい」という感情を押しつけ合っている可能性があります。しかも、そのことを揃って自覚していないことも多いのです。ですから、本来の喧嘩の目的さえわからないまま、自分を守るためだけの攻防が続いてしまっている、ということもあります。

また、大人の親子喧嘩の原因には、子どもが年齢的に大人であったとしても、大人になることへの抵抗、大人としての責任回避、という意図が隠れていることもあります。

◇経済的な要因

親または子どものどちらかが、経済的な自立ができていない、あるいはお金の管理ができていない場合、お金が原因で喧嘩になることも考えられます。経済的自立ができていない人は、仕事やお金のことを言われるたびに罪悪感を刺激されます。それに反応してイライラしたり、反論したりすることで喧嘩が始まるのです。

◇【まとめ】「依存」に由来する問題が原因

感情的な要因、経済的な要因ともに、自己管理能力に関するなんらかの課題が残されていて、そのことが不満や文句につながっています。大人になってからの親子喧嘩の原因には、「依存」に由来する問題が含まれている可能性が高いといえるでしょう。

■親子喧嘩を回避するためには

親子といえども、喧嘩はお互いにストレスのたまるもの。できれば喧嘩そのものを避けたいものですよね。親子喧嘩を回避するためのコツや、イライラを解消する方法について、ご紹介します。

◇親子喧嘩をしないためにできること

不満や文句を伝えられたとき、「そうだね、ごめんね」と言えるのは、自分の気持ちを客観的に見られるくらいまで成熟し、また親と適切な距離を保てるようになってからです。時間をおいて自分の気持ちを整理したり、専門家や信頼できる人に相談して客観的なアドバイスをもらったりするなど、今の状況を冷静に観察してみるのがいいかもしれません。

また、たとえ家族であっても、自分と相手は違う人間です。興味関心が同じであるとは限りません。自分の言い分を伝えるだけでなく、相手の言い分にも耳を傾ける必要がありそうです。先入観を脇において話を聞くのは、最初は難しいかもしれません。しかし「相手にしたことは自分に返ってくる」と思って、相手の話に耳を傾け、その後で自分の言いたいことを伝えるといった工夫も取り入れてみましょう。

そして、自分の思いを伝えるときには、何をどうしてほしいのか、素直に正直にリクエストすることも大切です。相手のどの部分がどのように不快に感じたのか、また相手にどうしてほしいかを具体的に説明できるようにしておくこと。もしくは説明できるくらい自分の頭の中を整理しておくこと。そうすることで、不毛なすれ違いも少なくなります。

そのほかにも、相手に謝ってほしいことがあれば、潔く自分の非を認めることもポイントです。「さっきは言いすぎてごめんなさい。でもこれだけはわかってほしかった」「この件に関しては私も言いすぎて申し訳ないと思っているけど…」と前置きをした上で要望を伝えられると、相手も心を開きやすくなります。ぜひ試してみてくださいね。

◇それでも親にイラッとしたら?

怒りやイライラなどの不快な感情は、貯金のようになって、のちのち利子をつけて返す羽目になります。そのような感情を解消するために、一旦その場を離れるなどしてやり過ごした後、自分のための時間をとって、心にそっと寄り添ってみてください。

「何でイライラしているのか自分でもわからない」からイライラするということもあるでしょう。そういうときは、「私がイライラしていたのは、こういうことだったんだ!」とわかることで怒りは解消されます。

一方で、親から依存されているケースでは、親と一定の距離を保つことが大切です。それは自分の問題なのか、あるいは親自身の問題なのか、本質的な課題を見極める必要があります。

■親子喧嘩をしてしまった際の仲直りの仕方

自立した大人同士であれば、親子喧嘩もそれほどこじれたり、長引いたりすることはありません。仲直りすることにこだわらなくても、いつの間にか仲が戻るものです。

仲直りが必要だと感じるのは「依存している側」である場合があります。親から見離されてしまうと困る、子どもが離れると困る、という弱みが隠れされているのではないでしょうか。

相手に依存している場合の親子喧嘩は、相手の機嫌をとって仲直りすることよりも、実際に自立に向けて取り組んでいくことが仲直りのポイントになります。親子関係という狭い枠から抜け出し、自分の世界を広げたり、社会の中での新しい関係性を築いたり……。そうすることで、親子としても健全な関係性を築くことができた、ということはよくあります。

「どのように謝ればいいか」といった、その場を納めるだけの対処法では解決できない課題もあるということも覚えておいてくださいね。

■親子喧嘩、仲直りはお互いに「大人になること」

子どものころの親子喧嘩と異なり、大人になってからの親子喧嘩では、お互いにしっかりした考えを持っていて、譲れない部分がぶつかり合うことも多くありますよね。でも、気づいたら仲直りしていた、という経験もあるはず。喧嘩が長引いてしまうのは、本当の意味で依存関係を抜け出していないから。親も子も、ひとりの大人だと認めあうことが大切です。お互いに自立した立場から、もう一度関係性を見直すと、仲直りするきっかけが見つかるかもしれません。

(文:熊谷佐知恵、構成:はらきよか)

※画像はイメージです

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