一度信じてしまった情報を訂正するのは難しい。だが繰り返して正しい情報を共有することで訂正可能となる(米研究)

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一度信じてしまった情報を訂正するのは難しい。だが繰り返して正しい情報を共有することで訂正可能となる(米研究)
一度信じてしまった情報を訂正するのは難しい。だが繰り返して正しい情報を共有することで訂正可能となる(米研究)


 人は、一度信じ込んでしまった情報を、それが間違ったものだと知った後でも、なかなか訂正することができない。

 否定されればされるほど確証バイヤスが働き、自分が正しいことを裏付ける情報ばかりを集め、更に信じ込もうとする。

 しかし米プリンストン大学の研究によれば、何度も繰り返して正しい情報に触れ、まわりと情報を共有することで、その思い込みは解除されるという。

・俗説をわかりやすく言い換え、正しい情報を何度も繰り返し説明する

 たとえば、ある指導者が「薄暗い場所で本を読むと、子供の視力が低下する」という誤った俗説をどうにか訂正したいとする。

 実際に暗い所で本を読むと視力が低下するといった医学的根拠はない。目が悪くなる原因は、 “暗さ” ではなく “近くのものを見つめ続ける” ことによるものだ。

 いきなり「その説は誤りだ」と頭から否定すればするほど人々は頑なになる。そこで「近くのものを見つめ続けている子供は、視力が低下するリスクが高まる」と何度も繰り返し伝えればいい。

 こうした中立の意見は正しい情報を記憶に留めるだけでなく、間違った情報を思い出しにくくする効果がある。

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・俗説を真実と思い込んでいた人に対する実験

 『Cognition』に掲載された研究では、計146名の被験者を対象に24種の文章を読んでもらった。

 その内容は栄養、アレルギー、視力、健康の4カテゴリーに関するもので、そのうち8つは間違った俗説だった。

 そこにあった俗説は、たとえば「赤ちゃんは泣くことで肺を発達させる」といった、世間一般に受け入れられているが、実は本当ではないものだ。そして、この俗説の正しい関連情報として、「肺炎は子供の第一位の死因」がペアになる。

 実験ではまず被験者に「ネットでよく見られるもの」と説明した上で、文章を注意して読んでもらい、それぞれの内容をどのくらい信じられるか1(まったく信じられない)から7(とても信じられる)で評価してもらった。

 次いで、ある人が先ほどの文章の内容を思い出しながら話すところを録音した音声を聴いてもらった。

 被験者はこれを聴いて、音声が文章の内容を正しく語っているどうか答える。なお各被験者は2つのカテゴリーに関する文章を正しく語った音声を2つ聴いた。

 それから被験者にそのカテゴリーの最初に読んだ文章の内容を思い出してもらうよう指示。最後に、最初の文章をもう一度見せて、正確さや科学的な裏付けについて再度評価してもらった。

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・正しさと関係なく皆が知っていて記憶に残る情報をあてにする

 この結果、他人が共有していた情報を耳にした被験者は、自分の意見を変えることが明らかになった。

 特に、録音された音声がぱっと簡単に思い出していた場合ほど、その情報の信憑性に影響を与えていた。

 話し手がすぐに思い出せたものほど、信憑性が高いと評価されたのだ。反対に、忘れてしまっていた部分が多いほど、評価は低いものになった。これはもともとの文章の正しさとは関係がなかった。

 実験でのサンプル数は、アメリカ全国を十分に代表するものではないことに注意が必要だが、研究者はもっと大きなサンプルでも同じ結果を再現できると考えている。

 将来的には、特に間違った情報を信じやすい健康などの分野に関心のある指導者にとって、重要な指針にもなるかもしない。


via:princeton/ written by hiroching / edited by parumo
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