長谷川博己に安藤サクラ『まんぷく』がベテランを揃えた裏事情

日刊大衆

長谷川博己に安藤サクラ『まんぷく』がベテランを揃えた裏事情

 安藤サクラ(32)がヒロインを務める連続テレビ小説まんぷく』(NHK)は、放送開始から1か月近く過ぎたが、高い人気をキープしている。ウェブのニュースを見ても「好調」「ヒット」という文字が踊っているが、このドラマは、なぜ評判になっているのだろうか? 10月20日の放送を振り返り、考えてみよう。

 濡れ衣を着せられて憲兵隊に捕まっていた萬平(長谷川博己/41)が、厳しい取り調べの日々から解放された。福子(安藤サクラ)は萬平の家に、毎日、お弁当を持って通うが、これを母親の鈴(松坂慶子/66)は良く思わず、2人の結婚に反対し続けていた。姉の克子(松下奈緒/33)や会社の先輩である保科(橋本マナミ/34)、亡くなった姉の咲(内田有紀/42)の夫である真一(大谷亮平/38)らと語らう中で、結婚への思いを強くする福子。そして、ついに萬平が鈴に結婚のお願いをすることになり……という展開だった。

 このあらすじを見ると、ある驚きの事実に気づく。主要キャストに20代の俳優が(今のところ)いないのだ! 福子の友達、鹿野敏子を演じている元SKE48の松井玲奈は27歳だが、ほとんどのキャストが30歳以上というのは、若手の登竜門といわれてきた朝ドラではかつてない出来事だ。当時、40代だった藤山直美(59)がヒロインを務めた、『芋たこなんきん』(2006年度下半期)という例外はあるが、このキャスティングは朝ドラにおいては革新的なものといえる。それでも、この安定感ある実力派キャストによる好演が、視聴者から高く評価されている理由のひとつといえる。

■『まんぷく』は次作『なつぞら』を意識した?

 邪推だが『まんぷく』のキャスティングには、次作『なつぞら』の存在が影響しているように思える。19年4月スタートの『なつぞら』は、すでに主要キャストを発表している。広瀬すず(20)をヒロインに迎え、岡田将生(29)や吉沢亮(24)といった若手をそろえつつ、松嶋菜々子(45)や草刈正雄(66)ら人気俳優が脇を固めている。連続テレビ小説の100作目ということで注目度も高く、広瀬すずの起用が発表されたのはなんと17年11月だ。放送開始の1年半前にヒロインが発表されるとは、異例中の異例。NHKの100作目にかける意気込みは、それだけ強いということだ。

 朝ドラはNHK東京と大阪が交互に制作していて、お互いのライバル意識は相当なもののはず。当然、『なつぞら』の前、第99作の『まんぷく』も負けてはいられない。100作目の『なつぞら』が放送開始前から注目を浴びているだけに、『まんぷく』は絶対に失敗できない、という気持ちは強かっただろう。そこで期待の若手ではなく、すでに高い人気を誇る安藤サクラ、長谷川博己にドラマの命運を託すことになったのではないだろうか。

 実力派中心というキャスティング手法は、これからの朝ドラにとって大きな武器になるかもしれない。冒頭で触れたように、『まんぷく』はとにかく評判がいい。“実力派を使って大成功”という実績ができれば、今後もこの形式は増えるかもしれない。もちろん新人女優、俳優の登竜門という役割を担ってほしい気持ちはあるが、朝ドラブランドをより高めてくれるのならこの起用法もありか? 『まんぷく』が新しいヒットの法則になれるかどうか、ぜひこれからも注目していきたい。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

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