世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第293回 消費への罰と、利益への罰 (2/3ページ)
増税による増収分を、せめて全額支出(政府の消費、投資)に回してくれればまだしも所得への影響は抑制される。ところが、増収分で負債返済されてしまうと、文字通りおカネが「消える」ことになり、誰の所得も生まれない。「増税+負債返済」の組み合わせは、我々が稼いだ所得をブラックホールに放り込み、そのまま貧困化させる最悪中の最悪の政策なのだ。
総理は会見で「引き上げによる税収のうち半分を国民に還元する」と、語ったが、我々の所得から最悪の形で徴収した税収について、恩着せがましく「還元する」などと言ってほしくない。その上、問題なのは、
「国民に還元されない増収分は、負債返済に回される」
という点である。つまりは、'19年10月に予定されている消費税増税の増収分の半分は、誰の所得にもならない。まさに、日本国民貧困化政策である。
さて、改めて消費税と法人税の違いについて考えてみよう。法人税は、企業が費用を増やせば増やすほど減っていく。企業の費用増は、法人税の源たる税引き前利益の縮小になるわけだ。法人税率が高い場合、企業は、
「どうせ税引き前利益を増やしたところで、たくさん税金で持っていかれてしまう」
となり、投資や人件費、交際費などを増やすことになる。
つまりは、法人税は「過大な税引き前利益を残すこと」に対する罰なのだ。そして、「利益への罰」を回避するため、企業が投資や消費、分配(給与)を増やすと、確実に「需要」が増加することになる。結果的に、経済はインフレギャップ(総需要>供給能力)方向に向かう。
それに対し、消費税は「消費への罰」だ。'89年(消費税導入)以降の日本は、見事なまでに「法人税減税分の財源を、消費税増税で賄う」ことを繰り返してきた。要するに、企業に「楽」をさせ、その分を一般国民からの徴税で賄ってきたのである。ということは、
「消費に対する罰を厳しくし、需要を縮小させ、同時に利益に対する罰を甘くし、需要を縮小させる」
という、二重の需要縮小策を政府は推進してきたことになる。さらに、日本人の生産性はただでさえ上がりやすい。この状況でデフレギャップ(総需要<供給能力)にならなければ、むしろ奇跡だ。
残念ながら、奇跡は起きなかった。