「平成日本シリーズ史」ヤクルトの“野村ID野球”がイチローを封じ込めた! (2/3ページ)

アサ芸プラス

かたやオリックスも7回表に無死一、三塁から1番・田口壮と4番・DJのタイムリーで3点を挙げ逆転。しかしヤクルトは粘る。8回裏には2死満塁から5番・古田敦也が内野安打を放ち、1点差に迫ると、9回裏はオリックスが逃げ切りを図り投入したストッパー・平井正史から7番のミューレンが起死回生の同点ソロを放ったのだ。こうして試合は2夜連続の延長戦へと突入することに。そして決着はまたも劇的だった。10回裏に1死二、三塁のサヨナラの場面を作ると、何と6番・池山がレフトスタンドに飛び込む3ランを放ったのだ。このドラマチックなサヨナラ弾でヤクルトは初戦から怒濤の3連勝。日本一へ一気に王手をかけたのである。

 初戦からまさかの3連敗で後がなくなったオリックス。第4戦は先発・長谷川滋利の右腕にその命運が託された。その期待に応え、長谷川は6回を投げ、被安打2の1失点という好投を展開。さらに7、8回は2番手の鈴木平が打者6人に対し、パーフェクトピッチングを見せていた。

 だが、打線がヤクルト先発の川崎憲次郎から再三チャンスを作るものの、あと一歩攻めきれず、8回まで0行進が続いていた。このまま終わればヤクルトが日本一となる最終回。ヤクルトベンチはストッパーの高津臣吾を投入せず、川崎の続投を選択。これが裏目に出てしまう。先頭打者の小川博文が起死回生の同点ソロを放ち、土壇場でオリックスが同点に追いついたのだ。その裏サヨナラのピンチを招いたものの、第2戦に先発した野田を投入する執念の継投でしのいだ。こうして3試合連続の延長戦へと突入することとなったのである。

 10回裏、オリックスのマウンドには第5戦の先発予定だった小林宏が上がっていた。シーズンでフル回転の活躍を見せたストッパーの平井が第2、第3戦と連続で痛恨の一発を浴びていたからである。小林は1‐1の同点で迎えた11回裏に1死一、二塁というサヨナラのピンチを招いてしまう。迎える打者は4番・オマリー。この絶体絶命の場面でのちに“小林の14球”と呼ばれる名勝負が展開される。カウント1ボール2ストライクから小林は10球を投げ込み、8球がファール、2球がボール。特にファール8球中2球が本塁打性の当たりだったことで観客の興奮が次第に高まっていった。そして勝負が始まってから実に12分20秒後。

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