統計学者の4人に1人が、科学者が望む研究結果になるようにデータの操作、改ざんを求められたことがあると回答(アメリカ調査)
「嘘には3つの嘘がある。嘘と真っ赤な嘘と統計だ」
海外にはこんなジョークがあるという。そしてどうやら本当のことらしい。統計学者自身がそのことを認めているのだ。
『Annals of Internal Medicine』に掲載されたアメリカ国内の統計学者を対象にした調査レポートによると、研究者はよく統計学者に「不適切なお願い」をしているのだという。
「不適切」とは統計解析のうっかりミスのようなことではなく、研究が科学者が望む結果になるようなデータ操作や改ざんとすら言えるようなお願いのことだ。
・ほぼ4人に1人がデータ操作を依頼されたことがあると回答
レポートでは、生物統計のコンサルタント522名にアンケートの記入を依頼し、390名から回答を得たものを表にまとめている。
「データ記録の削除または改ざん」依頼は驚愕の24パーセントの回答者があったと答えている。ほぼ4人に1人が、科学者が望む研究結果になるようにデータ操作を依頼されたということである。
やや重大度が低い違反と評価された「有意でないものはあまり触れない」は、55パーセントがそのような依頼を受けている。

image credit:American Council on Science and Health
上の表をみるとわかるが、弁解の余地もないひどい行為の依頼もある一方、重大性が低いものについては、依頼主に悪意があったというよりも、ただそれがいけないと知らなかっただけかもしれない。
科学者だからといって必ずしも統計に精通しているわけではないからだ。
ただし、このレポートでは、それについて掘り下げていない。ゆえに少なくとも一部については邪な意図があった可能性を否定できないのも確かだ。

科学論文の捏造問題については度々話題に上がるが、一番の根拠となりうる実証データの統計分析に脆弱性があるとなると、何を信じてよいのかわからなくなる。
改ざんされていないデータであっても、どこを拾ってどういうグラフを作るかで、受け止め方が違ってくる。
2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑京大名誉教授は、インタビューで「ネイチャーやサイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割」と語り、「簡単に信じないこと」の重要性を強調したが、研究者じゃない我々にとっては、同じテーマの研究論文があればそれをすべて調べて、確認していく作業も必要なのかもしれない。
そして情報はアップデートされていくことも忘れてはならない。これまでの研究結果が、明日にはまったく違った結果となる場合だってあるのだ。
さらに我々の脳は記憶が改ざんされるようにできていたり、確証バイヤスが働いたりとか、もう何を信じていいのかわからなくなってきたぞ。
References:1 in 4 Statisticians Say They Were Asked to Commit Scientific Fraud | American Council on Science and Health/ written by hiroching / edited by parumo