「死ぬほど怖い」と言うが、人は恐怖で死ぬことがあるのか?答えはイエス。
死に方にはいろいろある。感染症だってあるし、過労死だってある。事故でばらばらになって死ぬかもしれないし、変な毒キノコにあたって死ぬかもしれない。我々の最後にはさまざまな死に方のいずれかがランダムに与えられる。
お化けが徘徊するハロウィンは過ぎてしまったが、だからといって死が遠ざかるわけではない。死は誰にとっても恐ろしい――その恐怖は文字通り死ぬほどだ。
では実際に、人は恐怖が原因で死ぬことはあるのか?
その答えはイエスである。
・恐怖が体に及ぼす反応
ひとたび恐怖の引き金が引かれてしまうと、それは人体のすみずみに駆け巡る。まずは脳だ。へんとう体は恐怖刺激を感知する役割を担っており、神経系にある反応を起こす。すると視床下部が血流にストレスホルモンのコルチゾールとアドレナリンを流す。
これによって心拍数が上昇し、肺が膨らむことで、より多くの酸素を取り入れられるようにする。
突如とした生死にかかわるような作用を検出した消化器系は、収縮し、中身を吐き出す。また筋肉にもリソースが送られ、闘争・逃走反応に備える。
この化学反応の連鎖は、危険な状況から逃げ出すための備えで、大昔から人類を助けてきた。だが、いい面があれば悪い面もあるのが世の常だ。
これは特にアドレナリンについて言える。このホルモンであり神経伝達物質でもある化学物質は、過度に使用すると心臓に重篤なダメージを与えることがある
――それが致命的にすらなるほどだ。

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・アドレナリンの増加が心臓に影響、場合によっては死ぬことも
アドレナリンは大量にカルシウムが放出させる。すると、それが胸腔内に流れ込み、心臓の筋肉を硬直化させてしまう。
これは脅威が過ぎ去るまで緊張を維持するためのものなのだが、あまりにも多くのカルシウムが流れ込んだり、これに敏感な体質だったりすると、心臓が正常に鼓動しなくなってしまうのだ。
血液が足りなくなれば、心室細動が生じる。心臓は定期的な電気信号によって鼓動しているが、心室細動では、この電気信号がうまく伝わっておらず、無秩序に収縮している状態である。
そのため、電気ショックなどで除細動してやらなければ、血圧が急低下し、最後は人を死に至らしめる。
・恐怖が死因とみなされることはあるのか?
こうした仕組みの存在と、現実の記録にはかなり食い違いがある。たとえばアメリカ人で検視の結果、死因が”恐怖”と診断された例は、仮にあったとしても少数だろう。
だが、感情に由来する心臓発作にはある特徴がある――健康だったはずの人が強烈な感情を味わって急死した場合、血管の閉塞が見当たらないのだ。
心疾患を抱える患者とは違って、恐怖に怯えた人体には血液が正常に流れている。ところが、心臓が石灰化してまったせいでそうできなくなる。
・恐怖が死を呼び起こす「バスカヴィル効果」
恐怖とストレスは未だそれほど理解が進んでいない。
実験は不可能も同然で、心理状態が肉体の結果につながることを証明するのは困難だ。それでも研究はコツコツと続けられている。
たとえば2001年、カリフォルニア大学サンディエゴ校の調査で、日系、中国系のアメリカ人で心臓に慢性的な疾患をもっている人が、4日に亡くなる確率が他の日よりも50%も高くなるという研究が発表された。
これは日本語、中国語の「4(四)」が「死」と同じ音であることから、死を連想したことで、健康状態に影響をもたらした可能性もある。
研究者はこの現象に「バスカヴィル効果」という名を提案している。炎を吐く犬を見て人が死ぬ事件が起きる、シャーロック・ホームズの『バスカヴィル家の犬 』にちなんだ名称だ。

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・恐怖で死なないために
恐怖は本当に人を殺す。だが恐れる必要はない。そうしたことは滅多に起きないし、健康な心臓の持ち主ならなおさらだ。
それに、恐怖で死ぬのではと怯える人に言いたいのは、一番いい予防策は心配などせず、穏やかな心でいるということだ。
むしろ、自分が他人を脅かしてしまわないよう気をつけよう。アメリカでは他人をびっくりさせて死なせてしまった人の責任を認めた判決があるのだ。
References:You really can be scared to death/ written by hiroching / edited by parumo