秋津壽男“どっち?”の健康学「現代の大人の病気である歯周病の恐怖。口腔ケアだけでなく生活習慣にも要注意」 (2/2ページ)

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レッドコンプレックスの侵入経路により、狭心症や脳卒中、くも膜下出血、大動脈瘤などの大病にも結びつきます。

 そんな合併症の一つに、「脳血管性認知症」という病気があります。脳の血管が徐々に詰まって脳の神経細胞にダメージを与えた結果、認知症になることがわかってきたのです。この病気は、脳出血や脳梗塞を起こしたあとに発症しやすく、手足のマヒや感覚障害、記憶障害、言語障害などを引き起こします。症状が進むと言葉が話せなくなり、食事さえままならなくなります。アルツハイマー型の認知症とは異なり、男性患者が多いことも特徴です。

 自分で何もできず家族に迷惑をかける、という意味で、糖尿病以上に怖い病気だと言えるでしょう。

 高血圧や中性脂肪が高い人は、動脈硬化を予防するためにも歯周病の治療が欠かせません。動脈硬化と診断された人や、脳梗塞や心筋梗塞を起こしたことがある人は、虫歯ではなく歯ぐきのケアをすることです。朝と夜に隅々まで歯磨きをして、歯と歯の間は糸ようじでケアしてください。マウスウォッシュをすれば口臭も減るので一石二鳥です。定期的に歯科を受診するのもおすすめします。

 口腔ケアも大切ですが、それ以上に重要なのは生活習慣の改善です。歯周病菌などの病原菌への抵抗力を低下させるタバコをやめ、野菜などビタミンの豊富な食生活にして、食べ物をよくかむこと。高血圧や糖尿病と同じく、歯周病も現代の生活習慣病なのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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