悪ふざけでナメクジを生で食べた男性が寄生虫に感染。8年の闘病の末に死亡(オーストラリア)

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悪ふざけでナメクジを生で食べた男性が寄生虫に感染。8年の闘病の末に死亡(オーストラリア)
悪ふざけでナメクジを生で食べた男性が寄生虫に感染。8年の闘病の末に死亡(オーストラリア)

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 オーストラリア、シドニー出身のサム・バラードさん(当時19歳)は、2010年、自宅の中庭で仲間たちとわいわい飲んでいた。

 庭にいたナメクジを見た仲間の1人が、サムさんに「食べられる?」とけしかけたところ、彼は「簡単さ」とばかりにナメクジを丸飲みした。

 ところがこのことがきっかけで、サムさんは8年間苦しみ続け、昏睡状態に陥り、ついには亡くなってしまったのだ。

 原因はナメクジに寄生していた広東住血線虫によるものだ。

・ちょっとした悪ふざけが悲劇を生む
  当時ラグビーの選手だったサムさんは、少々やんちゃなところがあったという。

 「同世代の男の子たちが集まってお酒を飲んでいたんです。そのテーブルにナメクジが這ってきて、『これが食べられるか?』と誰かがけしかけました」と母親のケイティさんは、7ニュースシドニーのインタビューに答えている。

 「男の子ってそういうところがあるでしょ」

 それは特に他意のない、無邪気な悪ふざけだった。・広東住血線虫に感染
 ところが、そのナメクジを飲み込んだサムさんは、広東住血線虫に感染してしまう。

 広東住血線虫の終宿主はネズミであるが、中間宿主はナメクジやカタツムリなどである。こうした生き物に直接接触したり、付着した野菜などをよく洗わずに食べてしまうと人間にも感染する。

 大抵の場合は軽度な症状で済むが、バラードさんのように幼虫が脳に入り込んでしまうと、髄膜炎を引き起こし重症となる。

 このために彼は1年以上も昏睡状態に陥った。意識が回復してからも麻痺が残った。そして、ついには命を落とす結果にもなった。

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photo by Pixabay・過酷な闘病生活
 ナメクジを食べて数日後、サムさんは母親にひどい足の痛みを訴えた。そして、ナメクジのせいだろうか?と疑念を口にしたという。

 「そんなはずないでしょ」と答えたと母親だったが、病院で診察を受けると本当にナメクジが原因であることが判明した。

 「息子は怯えていました」

 「母親としてはどうにか安心させるよりありませんでした。だって、あの子は何も悪いことしていませんもの。ちょっとした悪ふざけだったんです」

 かつて「怖いもの知らず」だったサムさんだが、四肢まひ障害が残った。

 サムさんはさらにてんかんにも苦しむようになった。呼吸器が取り付けられ、食べ物もチューブからの流動食になるなど、常に医療ケアが必要になった。

 その支払いは家族に重くのしかかった。・母親の献身的な介護も虚しく死去
 サムさんが倒れてからというもの、ケイティさんはそれは献身的に介護を行なっていたそうだ。

 彼からは片時も離れず、食べ物を食べさせ、車椅子を押し、車に乗せ、お風呂に入れ、トイレで用足しをさせ、病院に連れて行く。常に愛情を注ぎ、決して彼を見捨てることはなかった。

 それは大変な日々だったろう。それでもケイティさんは息子がふたたび微笑む日がくることを信じて、明るい面を見つめようと努めた。

 幸いにも、サムさんの友達もよく見舞いにきてくれたという。ほとんど話ができないサムさんだったが、そんなとき彼の目はいつもぱっと輝いたとケイティさんは話している。

 だが、その甲斐なくサムさんはは11月2日金曜日に亡くなった。享年29歳。最後の言葉は、お母さんへ向けた「愛している」だった。

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Sam Ballard: Slug-eating rugby player passes away at aged 28 .. SAD Day・カタツムリやナメクジを生で食べる危険性
 アメリカ疾病予防管理センターは、広東住血線虫症について次のように説明する。
広東住血線に感染したカタツムリやナメクジを生のまま、あるいは調理が不十分な状態で食べると感染することがある(一部の文化圏では、ナメクジは一般的な食材)

特に子供の場合、カタツムリやナメクジをふざけてを食べてしまい、感染することがある。また、生の食材(レタスなど)に小さなカタツムリ/ナメクジが付着しており、それを食べることで感染することもある。

淡水に生息するエビ、カニ、カエルといった動物から、この寄生虫の幼虫が発見されたこともある。

ただし、こうした動物を生や調理が不十分な状態で食べることで人に感染する可能性はあるものの、カタツムリやナメクジからの感染ほどにははっきりとした証拠は得られていない。

また、魚が広東住血線を広めることはないことにも留意すべきである。
 なおオーストラリア当局によれば、感染自体はきわめて稀であるという。

 仮に広東住血線に感染したとしても、ほとんどの人にはまったく症状が現れないし、発症したとしても通常は一時的で症状も軽い。また脳への感染については次のように説明している。
ごく稀にであるが、好酸球性髄膜炎という脳の感染症を引き起こすことがある。症状は、頭痛、斜頸、皮膚のチクチク感や痛み、熱、吐き気、嘔吐など。

カタツムリ/ナメクジを食べてから発症までは通常1~3週間程度かかる。

このような症状があれば、医師の診察を受けるべきであるが、子供の髄膜炎の原因としては、髄膜炎菌性疾患や肺炎球菌疾患などのほかの感染症である可能性のほうがずっと高い。
生のカタツムリやナメクジを見ても決して食べてはいけない。生野菜や果物などについている場合もあるので、よく洗って確認して食べるといいだろう。

References:tendail. / au.news / news.com.au/ written by hiroching / edited by parumo



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