世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第295回 「カネ」と「技術力」 (2/3ページ)

週刊実話

とはいえ、独自技術を誇る企業が防衛省の装備品調達の際に1社しか入札しないことの何が問題なのだろうか。

 無論、競争がないため多少はコストが上がるだろうが、今はデフレなのだ。技術に優れた企業が所得を多く稼いでも一向に差し支えはないはずだ。

 そもそも、防衛装備品は「機密」の塊である。日本企業が防衛省とクローズドな空間で知恵を出し合い、優れた技術、装備を開発した結果、その企業しか応札できないなど当たり前だ。それ以前に、あらゆる装備品を強引に一般競争入札にした日には、企業は、
「投資しても、技術を開発しても、落札できない」
 ということになってしまい、間違いなく技術力は劣化していく。事前に汗をかき、防衛省と懸命に案件を詰めた挙句、「安い価格」で応札する企業に落札されるのでは、そもそも技術情報の交換すら行われなくなるだろう。

 結果的に、わが国の防衛安全保障における技術力は、急激に低下していく。防衛装備品という製品の特性や、現場の技術開発、製品開発のスキーム等はまるで無視し、「カネ、カネ、カネ」とやってくるのが財務省というわけだ。

 あるいは、リニア新幹線。リニア新幹線では、大手ゼネコンが事前に情報を共有し、受注調整を行ったことが「談合である」と、問題視されている。

 確かに、現在の独占禁止法は、リニア中央新幹線のような民間のプロジェクトに対しても、発注元や事業者が事前に情報のやり取りをすることを禁止している。とはいえ、これもまた実に奇妙な話だ。

 リニアの建設に参加する企業には、それぞれが「強み、弱み」がある。目的は、あくまで、
「2027年までにリニア中央新幹線について、東京―名古屋間を開通させること」
 であり、そのために各社やJR東海が話し合い、強み、弱みを加味した上で、担当箇所を決めることの何が問題なのか、筆者には理解できない。失敗が許されないプロジェクトである以上、各企業に得意分野、技術力に秀でた分野を担当してもらうというのは、当たり前の話だと思う(ただし、前述の通り現行法では違法になる)

 事前にプロジェクトにおける担当分野が決まらなければ、各社はその仕事に向けた技術開発や、人材育成ができなくなってしまう。

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