仕事や人間関係を苦しめるものの正体と、そこからの抜け出し方 (3/3ページ)
(P87-88)
そして、今度は侍を自分のところまで呼び寄せる。
「さて、もう一度尋ねよう。おぬしの立っている場所は?」
「それは無論、『ここ』に立っておる」
「では、先ほどまで立っていた場所は?」
「無論、『そこ』だが」
「さっきは、『ここ』と言っておったではないか」(P88)
このやりとりから侍は、「ここ」と「そこ」、つまり、物事の見方や価値観を分けているのが自分自身の心だということを悟りはじめる。
自分がこだわっていることは、あくまで特定の立場から見た場合の現実でしかない。そのとらえ方の枠組みを広くすれば、苦しむことはなくなる、というのが古猫の言葉の真意だ。
たとえば、「同期に仕事で負けたくない!」という心も、「部署の売上に貢献して切磋琢磨している仲間」ととらえられれば、無用な競争心で苦しむこともなくなるだろう。

本書は、剣術や武道の世界で読み継がれてきた名著だが、その奥深く確かな教えのエッセンスは、現代の仕事やプライベートの人間関係に悩む人の一助にもなるはずだ。
(新刊JP編集部 )