量は半分、価格を4倍にしても売れるガトーショコラを実現したシェフの経営論 (2/2ページ)
■4Pのうちの「3つのP」を重点的に見直す
氏家氏がとった戦略のポイントは、マーケティングの4P、プロダクト(商品・サービス)、プライス(価格)、プレイス(流通・店舗)、プロモーション(宣伝活動)のうち、プロダクト、プライス、プレイスを徹底的に見直し、その分の資金をプロモーションに注力するという態勢を整えた部分だろう。
まずは、プロダクト。ランチや喫茶、ディナーをやめ、ガトーショコラ1本に絞り込んだ。その結果、販売データの分析が容易になり、マーケティングがしやすくなったというメリットがあったという。
次にプライス。氏家氏はこれまで3回にわたってプライスを見直し、短い期間の間に値上げを断行してきた。最終的に、内容量が半分になりつつも、価格は実質4倍以上になったものの年商は伸び続け、創業20周年の今年は3億円の見込みだ。
値段を上げたことで客筋が良くなり、真剣に商品と向き合うことができるようになった。さらに、「プロダクト×プライス」の掛け算によって高級ブランドとしての価値が高まり、プロモーションにもつなげられたのだ。
そして、プレイス。ケンズカフェ東京の店舗は新宿御苑近くにあるだけの1店舗だけ。新店の計画はなく、ネットでの通販もやめてしまった。これはブランドの本質を見据えてのことであり、「限られた場所でしか手に入らない」という希少価値が百貨店との取引につながったと氏家氏は述べる。
氏家氏の考えの全容は本書を通して学んでほしいのだが、これは「ケンズカフェ東京」という小さな会社だからこその戦略であるということも事実だ。
ただ、会社や店舗のステージが変わるたびに「本当にこれは必要なのか」と見直すことは大事なこと。そして「余計なこと」であるならば思い切った決断も必要なのだろう。
経営の重要な部分に立ち返ることができる一冊である。
(新刊JP編集部)