「極楽銭湯」1000倍気持ちよく入れる“玄人の作法”

日刊大衆

写真はイメージです
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 後継者不足や施設の老朽化といった問題で、全国各地で、その数を減らしつつある銭湯。それでも地元に愛され続けている老舗から、新たな魅力を発信していこうとするニューウェイブ系まで、現在でもさまざまな銭湯が営業している。また、最近では日常的に入浴するだけでなく、ジョギングの汗を流したり、散歩や街観光として銭湯を巡るなどのレジャー利用など多様な楽しみ方もされているという。その日の疲れを静かに癒してもらう、従来の伝統的な楽しみ方はまさしく王道だが、それ以外にも、日帰り温泉旅行の気分でノレンをくぐってもよし、宴会場のある銭湯で、温泉旅行気分を味わうもよし。楽しみ方は多様だ。

 今回、全国各地の名湯の紹介に加え、新たな魅力に光を当てる達人の技、そして、銭湯と風呂にまつわる意外なウンチクまでを立体的に特集。読み終えたときには、今すぐに、ひとっ風呂浴びたいという気分になっているかも!?

■意外と知らない!? 銭湯の正しい入り方

 最近では、外国人に向けての「風呂の入り方」の表示が増えてきたが、日本で育っても意外と「正しい入り方」を知らない人も多い。今回は、正統派の銭湯の入り方を伝えよう。まずは、準備編。

●バスタオル、タオル、石鹸、シャンプー、リンスの用意をしていれば万全。多くの銭湯ではミニ石鹸、ミニシャンプー、ミニリンス、タオルを販売しており、手ぶらでも大丈夫。ちなみに、入浴料は全国的に大人420円~460円(都内は460円)。

●入浴前には水分を補給すると安心。風呂上がりに牛乳やジュースをクーッといきたいという気持ちは分かるが、前もっての水分補給は必要だ。続いては、いざ入浴。

●浴室に入り、自分が座る椅子と使う桶を取り、座る場所を決める。湯船に入る前にカランから湯を桶に溜め、体中に掛け湯をする。これは体を清潔にすると同時に、湯に体を慣らす目的もある。股間も洗うこと。いよいよ浴槽に入る。

●タオルが絶対に湯に浸からないように配慮。タオルを畳んで頭の上に乗せて入るべし。長い髪の毛を湯につけるのもNG。

●湯が熱くて我慢できないときは、一緒に入浴している他の人に断ってからカランの水でうめる。勝手に水を入れると、トラブルになりかねない。

●脱衣場に戻る際は、体をタオルでよく拭き、足裏の水気もマットなどで取ること。ペタペタの足跡はNG。ルールを守って、楽しい入浴を!

■旅ごころをくすぐる銭湯の楽しみ方

 全国には多様な銭湯がある。そして楽しみ方も銭湯によって、さまざまである。いつもと違うロッカーや番台に浴槽、そして、いつも見慣れた壁絵とは違うペンキ絵や細密なタイル絵が、きっと新鮮な気分に誘ってくれるはずだ。

 ときに微妙に違う湯の温度が、全身を包み込んで新しい感覚を呼び覚ましてくれるかもしれない。さらに、ノボせた気分で盛り場を歩き回れば、もう、これは立派な観光旅行なのである。

 かつてギリシャの哲人・アルキメデスが湯船に浸かって、「アルキメデスの原理」が閃いたとされるとの故事にもあるように、お風呂には計り知れないポテンシャルが秘められているようである。その中でも特に健康効果は大きい。

■ポジティブになれる銭湯入浴の健康効果

 まず挙げられるのが高温の湯に浸かることで得られる「保温効果」がある。基礎体温が上がり、新陳代謝の活発化が促されると同時に、「靜水圧効果」でリンパの流れも促進される。そして、発汗による老廃物のデトックス効果も高い。

 次に湯船に浸かることで得られる「浮力効果」も大きい。地球の引力からの一時的な解放感を味わうわけである。湯上がりでは気分がポジティブになるという。

 人生をプチリセットするのに、銭湯はオススメだ。さて、あなたなら、どこで銭湯体験をしてみますか?

■大御所、島本慶が語る「銭湯あるある」

 平成歌謡バンド『ペーソス』のボーカルとしてライブ活動のかたわら、本誌連載「おとなの居酒屋」では独特のホノボノ文体で居酒屋を紹介する島本慶氏もまた、銭湯の達人である。公衆浴場に関する著作も多く、ほぼ毎日、さまざまな地域の銭湯に行くという。そんな島本氏ならではの「銭湯」あるあるを紹介する。

●サウナや露天で寝て迷惑がられる人「実際に眠っちゃうと、そのまま本当の永遠の眠りについちゃうこともありますからね」

●ハイパワージェット独占する人「かなり長く独占する人がいますけど、お互い譲り合いが大切ですから」

●冷たい水を周りに散らす人「いるんですよ、こういう人がたまに。周りのこと考えない人」

●使った椅子と桶を片づけない人「そこにまだいるのかと思っちゃうわけですよ。そんなに混んでないのに、幽霊でもいるのかなんてね」

●シャンプーやリンスを入れている誰かのカゴを間違って使う人「たまにいます。初めての銭湯体験かもしれません。つい銭湯のサービスだと勘違いしちゃってね」

●飲んで入るお爺ちゃん「そうなんですよ。飲んでグダグダになってる後期高齢者の方がたまにいますが、危険ですよ」

●外国人のお兄ちゃんが来て、ついチェックすると、思いのほか立派だったこと「若いのに立派な人がいます。まさに国際派、自分のはローカル派」

■風呂と銭湯にまつわる歴史クイズ

 日本人と風呂との関わりは奈良時代にさかのぼる。意外なことに最初は「蒸し風呂」から始まるのだが、仏教伝来とともに寺院建築のひとつとして法隆寺をはじめ多くの寺院に設けられ、「沐浴」といった身を清めるという宗教儀式に。やがて民間でも盛んに造られていくのだが、日本の風呂は、この「蒸し風呂」、それに足湯のような浅い浴槽がついた「戸棚風呂」、全身を浸す「薬湯」を経て「町風呂」となっていくのである。そんな風呂を改めて知るホットな歴史クイズにチャレンジしてください!

Q1 風呂とは、もともと密封された空間を意味する、ある言葉が転じたもの。その言葉とは何か?

Q2 銭湯は中世にあった太平記(1370年~71年)などの書物に、その記述が残っているが、そこには「銭湯」以外の呼び名が書かれている。それは、なんと呼ばれていた?

Q3 銭湯の営業が一般的になったのは、江戸時代を迎える直前の天正19年(1591年)、江戸の神田鉄瓶橋近く、伊勢与市という人が始めたのが最初である。当時の入浴料は永楽銭で何文だった?

Q4 江戸の中期頃に初めて、湯に浸かる銭湯が定着した。江戸の人たちは各家庭で風呂を持つことを幕府から禁止されていたが、その理由は何か?

Q5 江戸時代の銭湯は、なんと呼ばれていたか?

Q6 江戸時代の風呂屋には客の垢をかいたり髪をすいたり、または酒の相手をする女性が働いていた。彼女らは、なんと呼ばれていたか?

Q7 寛政年間(1789年~1801年)、幕府により風紀上好ましくないとして、たびたび江戸の風呂屋に、ある禁止令が出されたが、それはなんの禁止令か?

Q8 明治時代の頃まで風呂屋では熱が逃げないように、浴槽の周りを板で囲い、さらに入り口を狭くしていたため、客はみんな、かがみ込んで入っていった。その入り口の名前は、なんと言った?

Q9 風呂には欠かせない石鹸だが、明治22年、我が国で初めて石鹸製造に成功している舶来物を販売していた洋物店の長瀬商店は後に、ある洗剤化粧品メーカーとなる。その社名は?

Q10 入浴が流行した天和年間(1681年~88年)頃には、男子は「風呂ふんどし」を用い、女子は「湯文字」と呼ばれる布を腰に巻きをつけて入浴していた。入浴する際には衣服を、そして湯から上がる際は濡れたものを平包みと呼ばれた四角い布に包んでいたが、その四角い布は後に、なんと呼ばれるようになる?

Q11 文禄・慶長の役で豊臣秀吉が朝鮮遠征のとき、鉄釜の上に据えた桶に湯を注いで、周りを密封して蒸し風呂にした簡易式風呂である「据風呂」を造らせた。この風呂は後に、ある大泥棒の刑罰に使用したために庶民の間に大流行するのだが、その風呂の名前は?


答えはコチラ








●A答え Q1 室(むろ)Q2 湯銭 Q3 一文 Q4 火事を防ぐため Q5 湯屋 Q6 湯女(ゆな)Q7 混浴禁止令 Q8 石榴口(ざくろぐち)Q9 花王石鹸 Q10 風呂敷 Q11 五右衛門風呂

■日本全国名物銭湯

 北海道の札幌から、九州の福岡まで、編集部が厳選した全国の人気「銭湯」をラインナップ。疲れた体によく効く薬湯に、温泉気分に浸れる露天風呂など、全国にある個性派26湯。あなたなら、どの湯船にしますか?

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